2012年10月15日月曜日
「ニンゲンはカビだ」という結論が出されるまで
羅臼高校二年生の選択科目「環境保護」。
生徒の間で「難しい」というウワサが流れて、このところ選択者が少ない。今年度は男子ばかり3名で開講中。
前時まで黒澤明作品の「デルス・ウザーラ」を観おわった感想を話し合っていた。
極東・ウスリー地方の先住民と二十世紀文明との出会いを描いた、探検者アルセーニェフの手記「デルスー・ウザラー」を元にした映画で、自然環境に強く依存して生活するタイガ(密林)の先住民の自然観を考えることがテーマだ。
それを受けて、今日は人類の出現から文明の発生、国家の形成などについて1学期に学んだ内容をさらい、「ニンゲンとは何か」というテーマへの導入にした。
この先は、哲学的な内容に入って行く。
「ニンゲンとは何か、あまり深く考えずに、思いつくままに一言で表してごらん」と問いかけた。
さまざまな答が出された。
「ニンゲンとは『欲』だと思う」
「ニンゲンとは、仲間を求めるものだと思う」
「ニンゲンとは、サルだ」
そこで、僕。
「パスカルは『人間は考える葦だ』と言ったよ」
すると生徒の一人が訊いてきた。
「先生ならなんて言う?」
(チクショウ!パスカルを出す前に訊いてほしかった!)
「『考える葦』である人間も、頭を使って文明を発達させたけど、地球規模の環境問題を次々に起こしているね。このままでは地球環境はニンゲンによって食いつくされてしまうかも知れない。地表を蝕むカビみんたいなものだな。オレに言わせれば『ニンゲンは地球のカビである』だね」
Aくん
「じゃ、『ニンゲンは考えるカビである』だね」
Bくん
「考えが足りないから問題をおこすんだよナ。」
Cくん
「じゃあ、『ニンゲンは考えないカビである』か?あれ?『考えないカビ』ならただのカビということになる。『ニンゲンはカビである』ということか!」
ハァ!
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