今年、羅臼町ではクマの出没(目撃)情報が異常に多い。
十日くらい前、海岸に打ち寄せられたクジラの死体に13頭ものクマが群がっているという話も聞いた。
そこは、知床岬に向かう場所で、人の居住している市街地から遠い海岸で、その沖でコンブ漁をしている漁師さんたちから情報だ。
今朝、職場の同僚が話してくれたが、昨日、自宅付近で見た個体はガリガリに痩せていたのだそうだ。
「山に食べ物がないのかねえ」と気遣わしげに言っていた。
この季節、知床のクマたちは川に遡上する餌の多くをカラフトマスに依存している。マスの遡上は始まったばかりだからこの先がどう変わるかわからないが、現時点では「あまり回帰していない」と言われている。
川に遡って産卵するマスが少なくなると、クマたちの食糧事情も悪化するに違いない。
それに加えて、クマを見つけると近づいて写真を撮ろうとする観光客が増えている。
一定の距離を超えてクマに接近する人間が増えるとクマの側にも人慣れを生じさせる。人慣れしたクマは、食べ物を獲得する場を人の活動範囲へ簡単に広げてしまう。
こうして「問題行動グマ」が産み出される。
世界一の高密度生息域である知床半島で暮らす人々の多くは、クマとの安全で適切な関係を保ちたいと望んでいる。クマの住まなくなった知床は、もはや知床とは呼べないとさえ言う人もいる。
知床半島のクマを守るためにも、この地を訪れる人々が自然への自制の効いた理性的な行動をとってもらいたいと願う。
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