2012年5月8日火曜日
雷を眺めながら
一日中、どこかに霧が漂っている一日だったが、山の上は晴れて美しい青空を見ることが出来た。
「今日はチャンスだ」と思い、予定を変更して知床峠に登った。
羅臼高校3年生の「野外活動」の授業でのことだ。地元の羅臼に住んでいても、空気が透き通って青空が広がっている羅臼岳を間近に眺める機会はなかなか無い。
峠の頂上に着くと、羅臼岳は手の届きそう近さに見える。いつも見上げている山ではあるが、生徒たちはみな、それぞれの言葉で感動を表現していた。
これほどまで空気がきれいなのは、激しい雨が降ったためだ。日曜日の夕方から夜にかけて降った雨は、雷も伴っていて、非常に激しいものだった。
その雨が降った時、僕は釧路市のはずれにいた。
雷は海にも落ちると聞いたことがあった。
一昨日、旅の終わり頃、国道38号線を通って釧路市に入った。釧路市の入り口、旧音別町に馬主来沼(パシクル沼)という沼があり、そこで休憩をとった。
停車している間に雨脚が激しくなり雷も鳴り出した。つくば市などに竜巻をもたらした大気の状態と同じようになったわけだ。
しばらくは、雲の中でくぐもったような光り方が繰り返されていたが、やがてガマンの限界を超えたみたいに稲妻が雲から海面に走るようになった。それは、確かに空中放電による光なのだが、太さと長さは、それまで見たこともないスケールだった。
この世には、70年や100年生きていても経験できない自然現象が無数にあると、しみじみ思った。
災害には結びつかない現象で、新聞などで取り上げられることもない「ありふれた」落雷ですら見ている者をこれほどに驚かせ高揚させる。大地震や大津波、強い竜巻など予測をはるかに上回る自然現象は、いくらでもあるのだろう。
あらためて自然の力の偉大さを認識したひと時であった。
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