「野外観察」の授業で峯浜の草原まで出かけた。
ふだん活動している場所は、谷沿いの傾斜地が多いので草原性の鳥に出会う機会がすくない。
生徒たちにどうしてもオオジシギを見せてやりたかったので20kmほど離れた峯浜まで出かけることにした。
約束していたかのように、すぐ姿を見せた。「ジープ ジープ ジープ」という鳴き声に続いてズズズズズゴゴゴゴゴーッと風切り音をたてて急降下してくる。生徒達は唖然としてその急降下に見入り、鳴き声を聴いていた。
ウグイスがうるさいくらいに鳴いている。ずいぶん近くで鳴くものだと思っているとすぐそばの反対側の樹でも鳴き始めた。僕たちはウグイスのテリトリーの境界に立っていたようだ。双眼鏡で探してみると姿も見えた。
続いて、ノビタキ、カワラヒワ、ベニマシコも現れる。
遠くでツツドリが鳴き、カッコウも鳴いている。
「目をつぶってごらん」と指示して、聞こえる音に集中させ、鳥の声を一つ一つ解説していく。聞いたこともない名前の鳥ばかりが出てきて、最初は戸惑っていたようだが、少しずつ鳴き声と名前が一致していくようだ。
そんな時の彼らは、一言もおしゃべりをしない。
高校生といえば、のべつなにがしかの言葉を口から出している生徒も多く、枕詞か呪文のように「ハイ!話をやめて」から授業が始まる場合が多いものだが、この時間に限って、生徒は一言も言葉を発しない。ひたすら耳だけを使っている。
彼らはきっと、「言葉を発すると自分の耳に入ってくる音が聴き取れない」ということを身をもって学んだことだろう。
それで良いのだよ。
無駄な言葉は口から出すものじゃない。
本当に必要な時に、重々しい一言をパチッと発する人間になるのがいいのさ。
鳥の声を聴くのは、人生の修行にもなるものだ、と思っているのは教える側ばかりなのだが。
本日の野帳写し
オオジシギ
ウグイス
ノビタキ
カワラヒワ
ベニマシコ
ハシブトガラ
ヤマシギ
オオセグロカモメ
ツツドリs
カッコウs
キジバト
トビ
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