2010年6月3日木曜日

熊越えの滝


 「野外活動」の授業で熊越の滝までトレッキングをした。
熊越まで行くのは、2月以来だ。
 残雪が消えたばかりで、林床はなんだかガランとした感じだった。

 いつも通り、温泉を観察したり、植物を観たり、鳥の声に耳を傾けたりしながら進む。川沿いのルートを進み、角を曲がると遠くに滝が見えてくる。
 「ウワアー」
 「ヤベエな、これ」
 彼らなりの賞賛の声だ。
羅臼で生まれ育って17年、今回初めて来た者もいる。15メートルの高さを相当な量の水が一気に落ちている滝の迫力は、彼らを感動させるのに十分な迫力を備えているようだ。

 川辺まで降りた生徒が息せき切って上がってきた。手に小さな黒い塊。
 「先生、鳥が溺れていた」
 キビタキだった。
 水の淀みに、何かの理由で溜まった泡に絡めとられ、もがいていたらしい。身体は濡れていたが元気はある。
 滝の滞在を少し短めに切り上げ、ビジターセンターへ運ぶことにした。
 「さすが、知床学士1級のSくん。今夜小鳥の精がお礼を言いに訪ね来るね」
 「綺麗な女の人かなあ?」
 「あれ?あのキビタキは雄だろう?」
 「あ~あ!」

0 件のコメント:

コメントを投稿