2012年7月12日木曜日

アウレリア(Aurelia)ラプソディー

懐かしい名前が出ていて、心ひかれた。  ミズクラゲ。刺胞動物門鉢虫綱ミズクラゲ科ミズクラゲ属の総称。  ラテン語でAurelia 。  生物の教科書でなじみ深い。その理由は、ユニークな生活環による。 受精卵は♀の保育嚢で発生して、体長0.2ミリメートルのプラヌラ幼生となる。  プラヌラ幼生は数日間遊泳生活をしてから岩場などに固着しイソギンチャク型のポリプとなる。  ポリプは成長し分裂を繰り返してコロニーを形成する。  成長したポリプは体にくびれができて多数の皿を重ねたようなストロビラとなり、やがて「皿」が、一枚一枚離れて海中に泳ぎだしエフィラと呼ばれる段階を経て、クラゲの成体へと成長する。  まとめると プラヌラ→ポリプ→ストロビラ→エフィラ→稚クラゲ→成体 この生活環が生物教師たちにとって格好の出題ネタとして使われるわけだ。  それはさておき、一匹のメスは、一個の卵から大変な数のクラゲが生まれてくる。加えて一匹のメスから産み出される卵の数も膨大なものである。  ミズクラゲが爆発的に増える理由はここにある。  クラゲは簡単な神経系を持ち、特定の刺激に対して決まった反応をする。したがって、光や温度、海水のpHなどを感じる能力はあるだろうと思われる。しかし、中枢神経系など複雑な神経系は未発達で、統合的にものを考えたりすることはできないだろう。  そんなミズクラゲが、原子力発電所の冷却水取水口を塞いで、原発を脅かすことのは、ちょっと小気味良い。心の中で快哉を叫びたくなる。  特に、日頃「原発は、科学技術の粋を集めて作られたものだから絶対安全だ」と虚勢を張っている技術者や経営者たちの鼻を、この小さなミズクラゲたちがへし折っているのを見ていると、「どうだ!参ったか?」という気持ちになる。  しかし、冷静に考えてみると、現代の原子力技術は、こんな「原始的」な生き物に振り回される程度の水準だということだ。とても怖いことだと思う。

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