2012年5月18日金曜日

チーズと芸術 そして デタラメ内閣

やっと一週間の仕事が終わった。
 今週前半は、日曜日から出始めた熱で苦しんだ。
 後半の木曜日以降は、ほぼ回復した。
 (心配して下さったみなさま、感謝申し上げまする。かたじけない。)
 さて火曜日の夜、熱が高くて、ベッドに入ってもなかなか熟睡できず、退屈紛れにラジオをつけていたら、俳優の勝村政信さんと岡山県の酪農家で農家チーズを作っている吉田全作さんの対談が流れていた。
 吉田さんは、チーズ作りに興味をもったことをきっかけに、ウシを飼い、乳を搾るところから始めた人であるらしい。
 対談は盛り上がっていたが、僕は、半分だけ耳を傾けているような状態だったので詳しい内容は覚えていない。
 だが、おしまいの方で、吉田さんが、自分は、自分が作りたいチーズを作っているだけ。チーズの味は、作る農家によって多様で、「これが正しい」とか「こうあるべき」と言ったものは無い。「消費者も好みのチーズを探せば良い。」という意味のことを言った。
 それに対して、勝村さんが応じた言葉が印象に残った。
 「それは芝居にも通じるところがありますね。芝居も少数の観客を対象にしている時は、好きな演目を好きなように演じられる。だが、観客が増えると、どうしても大勢の観客に受け入れられるためにはどうするか、ということを意識し始め、質が低下すると言うか、元々自分がやりたかった方向から逸れて行くことが多い。」というような意味のことを言ったのである。

 「芸術性」と現実の社会に受け入れられるための「大衆性」とが対立した時にどう止揚すべきかということは、昔からあるジレンマなのかも知れないが、チーズの作り方との共通点を見出したのは、ひとつの卓見だな、と感じた。

 二人は、周りからの評価を完全に無視する独善であることを礼賛したわけではないと思う。謙虚な姿勢を保ちつつ、より良い道を模索しつつも、自分の信じるものについては、一歩も引かず、妥協や迎合を拝していけば、道が開けると言いたかったのだろう。

 当たり前で、簡単そうなことだが、実は非常に難しい生き方だと思う。
 選挙の票を集める時には、消費税は上げないとか、後期高齢者医療制度は廃止するとか沖縄の米軍基地は最低でも県外に移設するなどと国民の切実な要求に応えるかのようなことを言い、政権の座に就いた途端に全てを真反対の方向へと転換させたデタラメな政治家には、出来ない生き方だ。
 そして、また、その同じ政党の政治家が、夏には電力が不足すると大騒ぎを演じている。あんな無責任で、その場その場の出まかせで言い逃れる人々の言葉を、本気で信じる人が何人いるだろう。
  
「原子力発電所の安全性が担保されるまでは稼働しない」などと言っていたこともあったような気がするが、本気で言っていたなんて、誰も思っちゃいない。

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