2012年5月21日月曜日

そしてカーソンの予言は実現した

本日部分日食。80%近くまで食が進み、朝、風景は薄暗いものになった。
 日本列島南西部より東北地方南部にかけて一部地域では金環食となった。


 そして今日、少しの間、山を歩いた。
 幸運なことにオオルリと出会った。
 ノゴマも来ていた。ウグイスやセンダイムシクイは、声を張り上げてさえずっている。気温はまだ低めだが、夏鳥が顔をそろえつつある。これから春が闌けていく。じっとしているのがもったいないような期待に満ちた、それでいて落ち着かないようなそわそわした気持ちになるこの時期が、実は一番好きな季節だ。

 しかし、もうしばらく姿を見ていない鳥がいる。
 シマアオジ。ラテン語名Emberiza aureola (黄金のホオジロという意味だろうか)
 姿を見なくなって何年になるか。道東の自然系施設で働く若い職員の中には、この鳥を見たことのない人、全く知らない人も増えているようだ。
 「去る者は日々に疎し」と言うが、シマアオジを忘れる人が増えることは寂しい。そう感じるのは、歳のせいだろうか。

 だが、これは、レイチェル・カーソンの予言した「沈黙の春」(「SCIRENT SPRING」)ではないか。
 今、元気にさえずっているノゴマやセンダイムシクイも、いつかシマアオジと同じ轍をたどらないという保証はない。
 「オホーツクのフルーティスト」と呼ばれ、姿も声も魅力的だったシマアオジ。ハマナスのソングポストがよく似合ったシマアオジ。
 他の鳥たちより一足早く、滅びの運命をたどったのは何故なのだ。
 みんなが忘れ去っても、僕はシマアオジのことを絶対に忘れない。
 毎年、海岸草原にハマナスの咲く頃、僕の心の中に住むシマアオジを歌わせてやりたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿