8月2日(日)
朝食後灯台まで往復することになった。海路を使ったとは言えせっかく岬まで来たのだ。初めて来た子もいることだろう。知床岬の象徴である灯台に行きたい思いはだれの胸にもあった。しかし、岬のすぐ近くの兜岩にいた「脅しの効かない雄グマ」というのが大いに気になる。だが、広い台地の上は見通しもきくからなんとかなるだろう。
文吉湾から灯台までは、2キロ足らず。片道30分前後の距離だ。周囲をよく見ながら一列で行進する。やがて灯台下の階段の登り口に到着した。灯台からの眺望は素晴らしい。遠くが雲で霞んでたが国後島の山々、知床岳などもよく見えた。昨日とは違って風が強く、海面に白い波が立っていて帰り、船の揺れが増すことが予想された。
灯台を降り、来た道を引き返す。文吉湾では、乗ってきた船が静かに僕らを待っていた。美しいが荒々しい自然に囲まれた中で、あらためて船を見ると、実に力強く頼もしく見えるものだ。
やがて、その船は僕らを乗せて文吉湾を後にした。岬を回ると舳先に当たる波が砕け、後部甲板にいた人々はバケツで水をかけられたようにずぶ濡れになっていた。波が当たらないのは後部の小さな船員室と舳先の波切りの陰の部分だけだ。手元のGPSで測定すると時速40キロで走っている。あらためて漁師の仕事の厳しさの一端を見た気がした。
やがて、船はモイルス湾に入って投錨した。
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