2012年12月27日木曜日

サンショウウオと衆院選

 一昨年、知床峠の道路縁の雨水枡で捕獲してきたエゾサンショウウオが元気だ。  野生では、とっくに冬眠している季節なのだろうが、室内に置かれているので水温は下がるのだろうが凍ることはない。  元来低温よりも高温に弱い生き物だろうから、すきま風吹き放題で断熱材の貧弱な我が家の寒い部屋でも元気に暮らしている。  いつもはフリーズドライのイトミミズを水で戻して餌として与えているのだが、クリスマスでもあり冷凍赤虫を与えた。  すると乾燥イトミミズの時よりもさらに激しい食欲を見せ、仲間を踏みつけてもつれるように餌に群がってくる。  日頃、敏捷な動きをすることなく、のんびりしているこの両生類たちも、興奮すると素早い動きで餌に襲いかかり、肉食動物として本性をむき出しにする。  サンショウウオは英語では「サラマンダー(salamander)」というらしい。 この名前は、元来は火の中に住むトカゲの形をした精霊(火蜥蜴)を意味する。水辺から離れられないこの生き物にどうして「火蜥蜴」という名が付けられているのか疑問だったが、 倒木などの薪の中に潜りこんだものが火にくべられた時に這い出てくることから、火の中から生まれると考えられていたことに由来するとするという話を読んで納得できた。  森の林床で落ち葉や枯れ枝の下に潜ってひっそりと生きているから、人目に触れることは本当に少ない。どこか神秘的に見えるところがあるのだろう。  そんな「火のトカゲ=サラマンダー」から「ゲリマンダー」という言葉が生まれた。  1812年、アメリカのマサチューセッツ州の当時の知事エルブリッジ・ゲリーが、自分の所属する政党に有利なように選挙区を区割りした結果、選挙区の形がサラマンダーの形をしていたことから、ゲリーとサラマンダーを合わせて「ゲリマンダー」という言葉が作られた。  ところから特定の政党に有利になるように選挙区の区割りを作為的に行うことを「ゲリマンダー」と言う。  僕は、現在の小選挙区制というのは一種のゲリマンダーではないかと思えてしょうがない。一つの小選挙区内では一人の候補者しか当選しないから他の落選した候補に投票した票はすべて死票となる。  たとえば一つの選挙区に6人が立候補し、それぞれが25%、24%、20%、16%、10%、5%の得票率だったとしても25%の有権者に支持された候補者だけが当選し、他の75%の有権者の意志は生かされることがない。  そして、たった25%の得票でも当選した候補者は「勝ちは勝ちだ」と言わんばかりに「俺を選んだのは民意だ」と威張り散らすのだ。こんな不愉快な横暴をわれわれは今まで嫌というほど見せつけられてきたではないか。  今回の衆議院選挙で自民党は「勝った勝った」とお祭りムードになっている。だが、得票率で比べると前回よりも減っているではないか。決して国民に広く支持されているわけではないのだ。   サンショウウオは、乾燥に弱く動きが遅い。だから、遠くまで移動することは不可能で、地域ごとに細かく分化している。日本だけでも約二十数種もの種に分かれている。  環境の変化に弱く多くの種が絶滅の危機に直面している。サラマンダーを保護し、ゲリマンダーは駆逐しなくてはならない。

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