2011年2月18日金曜日
エゾシカ問題
エゾシカが増え過ぎて困っている。農業被害は50億円を超えていると言われている。列車事故や自動車事故も頻発している。
この問題への対策として「個体数調整」ということが行われている。その内容は狩猟と罠による捕獲だ。少なくない予算が投入されている。
野生動物の生息数は、出生数(率)と死亡個体数によって変動するが、特定の地域に限って見ると周囲からの移動個体の流入数もこれに影響する。また、死亡原因は食糧不足や厳寒、積雪による。天敵による捕食圧は、現在のシカでは期待できない。
エゾヤチネズミなどの研究で、一定面積に生息する個体をすべて取り除いても、その空白地へ周囲からすぐに侵入が始まり、短期間で生息数が回復することが知られている。
要するにその土地で養うことの出来る個体数=土地収容力は食物現存量の多寡によって決まるのである。「個体数調整」で一時的に個体数の減った地域ができると、その地域の餌植物の生育が回復し、結果的には周辺地域からの流入によって、健全で若い個体群が増えてしまう。
非常に制約の多い狩猟法に基づいて駆除を行っても、個体群の自由な移動を許している限り、あまり「個体数調整」の効果は期待できないのではないだろうか。
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