2013年3月4日月曜日

板子一枚下は地獄・・・反省をこめて

 「板子一枚下は地獄」とは、船底の板一枚を隔ててその下は大海原あり、いったん港を出れば風まかせ、波まかせで人の力は及ばない、と船乗りの仕事が危険に満ちた仕事であることをたとえた言葉。“板子”とは和船の船底のことだという。  今回の暴風雪で死者が9名になった。不幸なことだがひょっとしたらもっと増えることもあり得る。  吹雪にさらされている車内で横になっていた。車体や窓の凍結を防ぐ目的もあってエンジンは切らないでいた。不意の衝突を防止する目的で最小限の灯火類も必要かと思い、車幅灯を点灯していた。風に運ばれてくる雪が高速で螺旋を描いて飛び去っていくのがフロントガラスから見える。猛烈な風の軌跡を雪が可視化してくれる幻想的な光景だった。  そんな吹雪を見ながら「板子一枚下は・・・」という言葉を思い出していた。気温は氷点下6℃。決して「極寒」ではない。この季節、この地方の気温としては特に低温とは言えない。2~3時間おきに車外に出て排気管が露出しているかなどを点検するのだが。風速20メートルの風は容赦なく体温を奪い、肌を露出している部分は瞬間的に冷える。体感温度は-26℃ほどだろうか。「鉄板一枚外は地獄」だ。  今回の暴風雪でなくなられた方々の死因は、車内でのCO中毒と車外での凍死とが大部分ではないだろうか。エンジンをかけたまま車にこもるのも危険。避難先を目指して猛吹雪の中を歩き出すのも危険だ。特に吹雪きの中を歩くのは予想以上に大量を消耗するものだ。10メートルでも遠く感じる。100メートルならはるか彼方に感じる。目的地が見えているとしてもだ。  われわれは、日常的にクルマを多用し、クルマに頼りすぎていないだろうか。町の中であれば、クルマも「町」というシステムを構成する要素の一つとして、快適に便利に機能している。まるでエレベーターのようなものだ。  だが、町から町へと移動する時は、森林や海岸、峠や河川など様々な環境の中を通り過ぎることになる。内地と違って北海道、就中道東では、そのような「点と点を結ぶ移動」になることが多い。そのような場面で、クルマは「鉄板一枚外は地獄」という環境を通り抜ける場合もある。  僕らは、あらためてこのことを認識しなければならない。 強い反省もこめて、今回の立ち往生で足りなかった物、持っていてい良かった物をリストアップしてみた。 ××反省点 ・何と言っても斜里へ行くべきでなかった。行ったとしても遅くても一時間早く帰路に就くべきだった。 ×足りなかった物  ・燃料。斜里町を出発する時点で残量4分の1。航続距離は250km強だったから「間 に合う」と判断した。帰路を急ぐあまり給油をしなかったのは完全な判断ミスだ。幸い なことに開発局の除雪隊と行動を共にしたのでガソリンの補給を受けられたが、それに 頼らざるを得なくなったことが悔やまれる。 ◎持っていて心強かった物 ・食料   若干の食料を斜里町で購入した。ただし夕食は帰宅してから摂るつもりだったので、 「おやつ」程度だった。それでも何も無いよりはずっと良かった。 ・冬山用の防寒防水の上下の上着   これは吹雪の中で行動するには不可欠で、お陰でストレスなく外に出て行動すること ができた。 ・長靴   普段から履いている。 ・サンダル   車内で長時間快適に過ごすためにはよかった。 ・タオルケット   イヌ用にいつも積んである。いざとなったらこれにくるまろうと考えていたが実際に は使わなかった。   ・スコップ(小)   使うことはなかったが ・スノーヘルパー   同じく使わなかったが ・ゾンメル社製山スキー 使わなかったが、持っているだけで安心できた。雪上を歩くとき徒歩よりもずっと早 くて楽だ。 ・本やPC   時間を有効に使うためにはこんな物もあればいい。

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