2013年1月29日火曜日

流氷の海の物質循環   流氷百話 27/100

羅臼も含めて北根室地方は強風で地吹雪が激しい一日だった。  982hPaの低気圧が千島列島の東海上で停滞してるため根室地方の一部で結構な風が吹いた。遮るものの無い海上を疾走してきた風は、突然現れる知床半島の1500メートルを超える高さの山々にぶつかり、複雑な渦を作って舞い上がる。  風下側にある羅臼の町には、海に向かって口を開けた谷から思いもよらぬ強さで吹き出してくる。このために海面は沸騰したように泡立ち、海水と空気がかき混ぜられる。  山から流れ下る川水や流氷には栄養塩類が豊富に含まれていると言われる。海底からわき上がってくる深層水も栄養塩類が豊富だと言われる。「栄養塩類」というと聞こえは良いが、閉鎖された水系に流れ込む生活排水にも「栄養塩類」が含まれている。  その具体的な内容はリン、カリウム、カルシウム、マグネシウムetc.…etc.  酸素が少なく、温度がある程度以上の条件の時、これらの栄養塩類が多くなるとアオコなどが発生し「汚れた水」となる。  流氷の海では水温が十分に低く攪拌されて酸素が十分供給されているから植物プランクトン→動物プランクトンという順で栄養塩類が利用されてゆきバランスの取れた物質循環が成り立っている。この精緻なメカニズムは、絶妙なバランスの上にある。  羅臼ではウニ漁が始まった。もうすぐ知床の海で育ったコンブを十分に食べたエゾバフンウニが、また食べられる。

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