2013年1月28日月曜日

平均点の一人歩き

 北海道の小中学生の学力は全国学力検査の平均点よりも下回っている。北海道教育委員会はこの後2年間の計画で平均点を上回らせることを目指すのだそうだ。  子どもたちの基礎学力が不足していることは教育の現場にいた者として僕も痛感している。そして、人間が生きていくうえで基礎学力が低いと様々な不利益に出会う。まず、何と言っても政府や悪質な企業の真実の隠蔽や悪意あるデマゴーグを見抜くことが難しくなる。  あるいは、流言飛語に属する根も葉もない噂に翻弄され不必要に悩んだり心配したり苦しんだりする。  だからより騙されず、真実を見抜くために基礎学力は高い方がいい。  だが、学力は他者と比べて一喜一憂するものだろうか。学力検査における平均点には、どれくらいの意味があるのだろう。全く意味がないとは思わないのだけれど「得点」だけにこだわりそれを自己目的化してしまっては、学力の本来の意味を見失うのではないだろうか。  まして「平均点」にどれほどの意味があるのだろう。一定の目安になることまでは否定しない。しかし、仮に全国の都道府県ですべての小中学生が頑張って平均点を上げていったら、「平均より上回ること」にどんな意味があるだろう。  学習と評価に関して、もっと基本的なところからの検証が必要なのではないだろうか。  平均点を上げようとする政策は、学力を矮小化した数値に置き換え学力論や評価論をあまり真摯に考えない人々にも「わかりやすい」ように迎合しようとする意図が明らかだ。  こんなことでは困る。 

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