2013年1月21日月曜日

銃口の彼方のエゾシカたちに

 今年の狩猟シーズンが間もなく終わる。それにもかかわらず、僕はまだ獲物を得ていない。気持ちは焦るのだが有効射程距離の短い僕の銃では、見通しの良い根釧原野で獲物に気づかれないように近づくのはなかなか難しいのが現状だ。  一見すると無防備に人里に出てきて餌を探しているように見えるエゾシカだが、彼らの生き残り戦術は実に巧みで、昼間は安全な禁猟区で過ごし、夜になると可猟区に入ってきて餌を食べて朝になると帰って行くということを繰り返している。夜間の発砲が禁じられていることを知っているかのようだ。いや、おそらく狩猟者の行動を知り尽くしているのだろう。そうでなければ野生動物としてはとっくに絶滅させられている。  そんな彼らを見ていると尊敬の念が湧いてくる。とんでもなく偉大な存在を狩猟対象としているのだ。遊び半分、おもしろ半分で猟をすることはできないとあらためて感じることが多いシーズンだった。    昨日、網走市を訪ねたとき、北方民族博物館にも立ち寄って見学した。たまたま、そこで 山口未花子さんという方の写真展が開催されていた。それは「カスカ~カナダ・ユーコンの森の狩猟民」と題されたものだった。  山口さんは、東北大学東北アジア研究センターに所属する若手の研究者でカスカと自然の関係について調査をしているそうだ。 「カスカ」とは民族の名称で、広大なカナダの自然の中で暮らし、ビーバー・ヘラジカ・ウサギなどを主食とし、その毛皮も利用する狩猟民のことだ。  人口約2,100人。ユーコン準州で生活している。そんなカスカの人びとの暮らしぶりを写真で紹介しくれていた。 (教育庁生涯学習推進局文化財・博物館課 かわむらさんのブログより一部借用)  その中で森の木の枝にヘラジカの気管が無造作に引っかけられている写真があった。その解説文には、以下のように書かれていた。
ひとり、わが意を得たりという気持ちになった。

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