2013年1月17日木曜日

オオハクチョウが渡っている

 一年前の小ブログに「フランスでは政府が国民を恐れているけれど、アメリカでは国民が政府を恐れている。」というフランス在住のアメリカ人の言葉を引用していた。  そして、日本の政府は国民を恐れておらず、アメリカを恐れていると付け足してあった。  アメリカの医療費と医療保険制度の問題点について厚かったドキュメンタリーを観た感想として書いたものだが、多くのことに当てはまる。 そのフランスもなんだかきな臭いことをやり始めた。フランス国内でのテロという事態も心配される。ヒトは本当に進歩のない愚かな生き物だ。  今朝、通勤途中、知床半島基部の海岸段丘の上を北北西の方向へ飛ぶオオハクチョウの小さな群れを見た。あの場所、あの方角への飛行はオホーツク海へ向かう渡りのコースだ。渡りの時期には早すぎる。なにしろこれから流氷が接岸しようという時だから。  少なくとも一ヶ月は早い。ハクチョウだけにフライングなのか、などとクダラナイことを思い浮かべてしまった。冗談はともかく、あの群れはおそらく網走の濤沸湖あたりを目指していたのだと思う。これから2月いっぱいを濤沸湖で過ごし、3月末から4月にかけて大勢のハクチョウたちが飛来する前に、さらに北を目指して飛ぶのであろう。  ハクチョウの行動は血縁のグループが基本だと言われている。渡りにコースや時期は、一族の中で受け継がれている。今朝、出会った群れは、他の群れに先んじて渡りの行動をするようにプログラムされた遺伝子を受け継いでいる一族だったに違いない。  気ぜわしく渡って行くグループ、大勢が一斉に行動するグループ、のんびりと全体の後ろから渡るグループ。同じ種の渡りという行動でも多様な行動様式がある。この多様な行動様式は、気候の極端な変動など環境の激変に対してしなやかに対応し、種の絶滅を防いできた。巧まざる自然の知恵と言えよう。  野生生物が同種内で殺し合うことがあったとしても、それには必ず何かの種の保存上の意味がある。ヒトという生き物の場合、どう考えてもそのような意味は見いだせないのではないと思うのだが。  それにしても極端に早い渡りに、なんとなく不吉なものを感じるのだが、そんな「予感」は外れてもらいたい。

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