2012年9月4日火曜日

係長の悲劇

 今日も公民館の裏にクマが出た。  公民館の裏口は指定喫煙場所になっている。  公民館職員の某係長が、仕事の合間の息抜きにそこで喫煙をしていた。  そして、何気なく後ろを振り返った時、一頭の若いヒグマが建物の角を曲がって歩いて来た。  その距離数メートル。目と目が合って、その職員も驚いたがクマもびっくりして走って山へ帰った。クマもさぞかし怖かったことだろう。なぜならその係長は、筋骨逞しい大男だったから。  羅臼では「角を曲がればクマ」というのがもはや常識になりつつある。  一方ニュースでは、東京都の係長が収賄容疑で逮捕されたと伝えていた。  首都直下地震に備えた水道管の備蓄倉庫建設など東京都水道局の発注工事を巡って、都交通局工務事務所建築第2担当係長が、贈賄側業者への発注額を意図的に約5300万円増やした疑いがあるとのことだ。 こっちの係長は、業者から計68回にわたり、約110万円分の飲食接待を受けた、と報じられている。  もちろん良いことじゃない。あってはならないことだ。  これが事実なら厳しい制裁が必要だ。  同時に、このニュースを読みながら、ふと「罪と罰」を思い出していていた。  ラスコーリニコフは、「一人の人間を殺せば殺人になるが、戦争で大勢の人間を死なせた者は英雄扱いされる」という論理をふりかざし、強欲な高利貸し老婆を殺して金を奪う。  つまり100万円とか200万円のような金額の収賄は犯罪として追求され、汚職とされてしまうのだが、数十億とか数百億といった巨額の利益をあげるために、大勢の人を犠牲にしても罪にはならない。  政治家も法律家も科学者も寄ってたかって罪にならぬように守ってくれるのが世の中の現実だ。  収賄役人に同情する気持ちは全く無いが、巨悪が堂々とまかり通っている現実に比べると、100万円の収賄で逮捕されたこの係長がちょっぴり哀れになってくる。  

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