2012年9月26日水曜日

旅の記 その16

9月25日(火) ブラチスラヴァ~ニトラ~ブラチスラヴァ  旅の後半は、あまり計画を持たない行き当たりばったりの旅になっている。  いくつかの選択肢があったが、結局ブラチスラヴァからバスで1時間から2時間かかるというニトラという町へ行ってみることにした。  スロヴァキアでもっとも古い教会の建てられた土地だという、人口は10万人足らずの小さな町だ。  ドナウ川に浮かぶホテルから市内の路線バスでバスターミナル(こちらの人は「バスステーション」と呼んでいた)へ移動する。自動販売機で切符を買い、バスに乗ったら車内の改札機で時刻を刻印する。ポーランドもチェコもオーストリアも、今回回った国ではすべて、公共交通機関の料金は時間制だ。  ブラチスラヴァでは、基本になる最低料金は70セント(現在のレートではほぼ70円)で15分以内となっている。15分以内なら何回乗降してもかまわない。その切符を持ってさえいれば、停留場で勝手に乗降できる。切符を買わずに不正乗車し放題のように感じるが、時々抜き打ちの検札があって、ルールに従っていない人には厳しい罰金が課せられるという。どのくらい「厳しい」のか知らないし、検札の現場を見たことはないが、誰もがルールを守っているようだ。  バスターミナルは街の中にあり、結構広い。遠距離のバスも頻繁に発着しているようで、今日の目的地ニトラまでの便も10~15分おきに出ている。  ニトラまでは鉄道もあるが、鉄道は一日2~3列車しかない。鉄道は貨物輸送が中心になっているのかも知れない。  ニトラのバスターミナルに着いた。  町は、旧市街と新市街とに分かれていて、旧市街の方は迷う心配がない大きさである。 事前に聞いていたとおり、古風な町並みが残っており、小高い丘の上に建てられたニトラ城には4~5世紀頃のからバロック時代までの建築様式が複合した教会が残っている。  一つの教会の内部を見せてもらうことが出来たが、青を中心としたステンドグラス越しの光が、内部のバロック風の装飾を美しく照らして、一瞬恍惚となる美しさだった。  町の広場に降り、カフェテリアで昼食。昨日の失敗に懲りて、総量を抑え気味にするように努めた。  ビールを、と思い注文したところが出されたのはアルコール分0.0%のビール様飲料。ちょっと悔しかったが、缶を開けてしまったので観念してそれで我慢した。だがまあ、それはそれで美味しかった。  昼食後、インフォメーションセンターに併設されている博物館へ。入り口が分からずウロウロしていると先生に引率された小学生の一団とすれ違った。  この集団は間違いなく博物館へ行くに違いないと、職業的な第六感で後に付いていくと予想的中。博物館に入ることが出来た。  ところが、その博物館には、高校生か中学生くらいの子どもたちも学習に来ていて、説明を担当していた係の人が、何をどう誤解したのか僕らをその中高生の集団に入れ、一緒に見学させてくれた。  しかし、その係の彼女は英語をまったく解さず、こちらもスロバキア語の解説を聞いてもチンプンカンプンだ。しばしの間、付き合ったが、途中で 「すみません。バスの時間がありませんので」とロシア語で伝えてやっと解放された。  そうは言っても親切はとても嬉しかったし、思いがけず小中学生の博物館学習の現場にも立ち会うことが出来て、幸運であった。  この国には観光客も多く、スロバキア語、ドイツ語、ロシア語、英語、イタリア語などが混じり合って飛び交っている。おまけに大学の表示にはラテン語が使われていて、言語のるつぼである。

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