東京農大の白井滋さんのお話を聴く機会があった。彼は深海性のツブをDNA分析し、互いの類縁関係の遠近から現在の分布域がどのようにして形成されたか、などのことを研究している人だ。
若いのにおだやかな語り口(つぶやくような)は、冷静で論理的、説得力に富んだものだった。
オホーツク海のツブと日本海のツブの共通性から、日本海に分布しているツブは間氷期に宗谷海峡を通って日本海側に入り込んで分布を広げたのではないか、ということがお話の中心だった。
そしてもう一点、羅臼(根室海峡)は、深海性のツブたちにとってきわめて特異な環境で、あること、つまり地形的な特徴から他の海域と隔絶されているという点を指摘われていた。このことは羅臼の沖合で、ツブたちの「進化の実験」が展開されている可能性があることを意味していることなどを説明して下さった。
ツブの研究者の目から見ても、羅臼の海(根室海峡)がユニークな海だ、と指摘されたわけだ。
面白いものだ。
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