2009年9月24日木曜日

羅臼の海岸線

 久々に出勤。五日間も休みが続くと普段のリズムに復帰するのに努力が要る。

 「野外活動」という科目で、生徒をビーチコーミングに連れて行った。しかし、何度来ても羅臼の海岸は面白みがない。石の浜だから、という理由からではない。護岸のせいなのだ。万里の長城のようにコンクリートの護岸が延々と続いている。波打ち際には、大きな石が重なり合っている。知床半島先端部の海岸と違って、これらの大石は何百年もかかって自然に形成されたものではない。コンクリートの護岸の建設に伴って、元あった場所から動かされてきたものだ。したがって不安定で「浮いた」状態のものが多い。だから岬近くの海岸よりはるかに歩き難いのだ。同じ大石の海岸でも半島先端部の浜の方が、それなりの安定性を獲得している。市街地の海岸に比べると歩きやすい。

 こんな海岸線を見ていると、羅臼の人は自然に対してきちんと向き合っているのか、という疑問が湧いてくる。自然環境の豊かな場所で暮らしていると自然環境の価値を正統に評価できなくなるかも知れない。先人たちが、生活の向上を求め続けて、ついつい行き過ぎてしまう、という例は、よくあることなのかも知れない。

 全国のダム建設を見直すという方針に政策が転換されようとしているとき、メンツや利害関係から建設推進にしがみついている人たちも、自分たちの生活の「向上」を求めるあまり建設推進にこだわると、日本中がコンクリートと鉄で固められてしまうのかも知れない。 

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