2011年9月27日火曜日

38億年の息づかい

「生物はなぜ生きているの?」
 生物の授業をしていて、ごくたまに生徒に質問されることがあった。
 「生殖のためだよ」
 そんな時は、わざと詳しい説明抜きにこう答えてみる。
 質問したのが男の子なら
 「キミだってそんなもんじゃないのか?」と付け加えたりする。

 たいていは、
 「ええええっ!ギャハハハハ」となり、お互いに笑って誤魔化す。

 だが、ヒトの場合はともかく、それ以外の生物について、この答えは間違っていないと思っている。
 生きるためには、まず食べる。食べなければならない。
 つまり自己の生命の維持を図る。
 そして、それが満たされ、時が満ちてくると次の段階は生殖のための行動をとるようになる。つまり種族の維持だ。
 種によっては、極端に利他的な行動が見られる場合もある。
 生命には限りがある。
 誕生した者は、必ず死ぬ。
 いや、「生命活動」とは、「死」へ向かって一方通行の道を進むことそのものだ。
 だから、生命は、自分の生命を受け継い生きる、「次の世代」を生み出すことに、自分の生の全てをかけるのだろう。
 みずからの個体を維持しようとするはたらきも、できるだけ次世代の生命を残す機会を多くしようとするためだろう。

生命は、そうやってみずからの有限性の本質に基づいて、生命を受け継いでいく方法を確立し38億年の地球上の時の流れを旅してきた。
 その生命の流れを、無理矢理押しとどめ、ねじ曲げようとしたのはニンゲンの作り出した放射線であり、放射性物質であろう。

 出張から帰ってみるとアファン(犬)の発情が始まっていた。
 現在生後16ヶ月。
 2回目の発情だ。
 相変わらず年齢の割には子どもっぽい行動が治まらないが、部屋で黙っている時にはずいぶんおとなしく、一見憂鬱そうにも見えるほど、普段の行動と異なる。

 イヌの成長は早い。生後一年目がヒトの15~16歳にあたるという説もある。だからわが家のイヌはもう20歳前後だろうか。
 横顔には母の雰囲気さえまとい始めているようにも見える。
 (まあ、次の瞬間には子犬に戻っているのだが)

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