2012年8月18日土曜日

ひとつの出会い

 子どもの頃、いろいろな物に人や動物の顔を見つけて、想像を膨らませた経験は、誰にでもあるのではないだろうか。
 成長し、世間の波にもまれているうちに、少しずつその感性を失っていくものだろう。 ごく稀に子どもの頃の鋭い感性を失わず、失わないばかりか一層それに磨きをかけて一つの才能へと昇華させるような人がいるものだ。今日、そんな人と出会った。
 非常に有名な人で、特に道東では、すでにたくさんの人が知っているのであろうが、その人は大西重成さんという。津別町に住んでいる方だ。
 津別町相生に自分の作品を展示する場を作り、「シゲチャンランド」と名付けて公開している。
 流木や使われなくなった機械の部品など様々な物を加工し、現代アートのオブジェを作っている。さらに、一部はイスとかテーブルなどの家具に仕立てている。
 元の形を利用して、いろいろな動物や立派な家具が大西さんの手で生き返らされている。 そのセンスと丁寧な加工からは、彼の才能が匂い立つ。
 今日、幸運にもしばらくの間、大西さんとお話させて頂く機会を得た。

 流木や貝殻、針金やファンベルトなど様々な物を使ったアートが置かれている場所で、僕は失礼を顧みず、
「ここにある物は、一つボタンを掛け違えれば単なるガラクタですよね。」と切り出した。
 大西さんは、にこやかに微笑みながら、 
「ええ、そうなんです。ガラクタを少しでも減らそうとして一生懸命作るんですよ。」とおっしゃった。
「でも、減るそばから新しく拾ってくるのでしょう?」と言うと
嬉しそうに
「はい!そうなんです」と言った後、こういう意味のことを付け加えた。
「ガラクタの山を眺めていると、そこにある物同士が、まるで愛し合うカップルのように『早く一緒にしてくれ』とせき立てるんです」
 それを聞いて、この人は、本当の芸術家なんだなあとつくづく感じた。

 その作品を見ても
「どうだ!オレの作品は、こんなにスゴイんだぞ」というような自己主張が全く無い。子どもの遊びの延長のように、作る本人がもっとも楽しんで作っている、ということがよく伝わってくるのだ。

 何か、大きな新しいものと、ここでも出会ったような一日だった。


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