2013年4月14日日曜日

そろってまとまり整列していると腐朽が進む

 退職して時間ができたらゆっくりカヌー作りでもしようと考えて材料をこつこつと集めていた。  僕が作るのはカナディアンカヌーで、幅15ミリ、厚さ5ミリくらいの細い木材を貼り合わせて船体を作る。そんなサイズの材料は市販されていないので、製材所に注文して作ってもらう。以前勤めていた学校の授業で作っていたので、その材料を注文するとき、製材所に頼んで自分の分も作ってもらっていた。  そんな木材を束にして縛ったものを10把ほど、車庫として使っている農業用のD型ハウスの天井から吊して保管していた。  ところが見込みが外れ、退職してもまだ、自由な時間を思うように持てない状態が続いていた。  今日、車庫の中を整理したときにそこに木材の腐りが出ているのを見つけた。驚いてよく調べてみるとほぼ2把の木材が駄目になっていた。実にもったいないことをしてしまった。  農業用D型ハウスと言っても要するに鉄板一枚を貼り合わせたもので、永年の風雪ですっかり錆び、ところどころ穴が開いている。車庫に使っているハウスは特に傷みがひどい。そんなボロいハウスで保管していたために雨漏りがして材料の一部が濡れ、なかなか乾かない箇所があったらしい。  森で育ち、切り出され、町に運ばれ、製材されて、新たな人生に向かおうとしていた木材たちを何も使わぬまま腐らせてしまった自分のふがいなさが情けなかった。せめて冬の暖房に役立ってもらおうと木片を拾い集めた。  それにしても、切り口を揃え、しっかりと束ねていたものが腐ってしまった。考えてみれば同じ形、同じ長さのものをきちんと重ねて縛っていたので一旦水を含むとなかかな乾き難かったのだろう。そこにカビが生え腐朽が進むのは当然のことだ。  ひょっとしたら人間社会も同じかも知れない。  同じ規格、同じタイプのニンゲンを大量生産し、同じ格好で同じ生活をさせ批判を許さず、基準から少しでもはみ出した者は排除する社会は、風通しが悪くすぐに腐敗していくのだろう。  日本では、本当は少し前にそういう時代があった。 今、歴史そのものを書き換え、そういう時代を無かったことにして批判を許さないというヒトが増えているようだ。  それによって、社会の腐朽菌が再び活発になりボロボロに腐らせてしまうことになるだろう。

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