秋は、夏の日差しに隠れて忍び寄ってくる。
朝、4時前に目が覚めた。夏至の頃に比べたら心なしか夜明けが遅くなっている。ああ、秋が近づいている。今年の夏も終わりが見えてきた、と感じた瞬間だ。
秋は、夏の景色のあちこちに密かに息づいている。それは、熱く愛を語る言葉のうちに別れの予感が含まれているように、あるいは、繁栄の絶頂に衰退への前兆が含まれているみたいに、密やかにではあるが確実に夏の風景の中に埋め込まれている。
すでに何日か前からヨツバヒヨドリ、エゾフウロ、オオマツヨイグサが咲きだし、ヒョウモンチョウの新成虫が飛び回り始めている。
春が、生命の燃焼と膨張を無邪気に表出していることに比べて、なんと屈折していることであろう。北西からの山越しの風が強く、根室海峡は「秋晴れ」と言って構わない一日であった。
トムラウシや美瑛岳で遭難した本州からの登山客は、このような季節の息づかいに心を向けていたのだろうか。少し気になる。
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