2012年10月11日木曜日

イカの季節

 イカが獲れはじめた。  秋になると根室海峡でイカ漁が始まるのは毎年のことだが、今年は少し遅れ気味のようだった。  昨日あたりから急にイカ釣り船が増え、夜の海が漁り火で真昼のように明るくなりはじめた。イカ釣り船の集魚灯がまぶしくてよく眠られない、と職場の同僚がぼやいていた。  ぼやきながらも町に活気が生まれることに、どこか嬉しさがまじっているようだったが。  今朝、さっそく獲れたてのイカを持ってきてくれた人がいて、数匹のイカを持ち帰った。 1匹はすぐに刺身に、2匹はマリネに、他は解体後皮を剝いて冷凍した。新鮮なゴロ(肝臓)と足や耳は塩辛にした。  塩辛は、イカの身とゴロと食塩だけで作る。  新鮮なゴロにはタンパク質分解酵素が含まれていて、筋肉のタンパク質を分解してアミノ酸を生産する。それが塩辛の旨味となる。それには、何よりも新鮮なイカが必要で、僕は、秋のこの時期、前浜でのイカ漁を心待ちにしている。  ところで、大量の塩辛を作っても塩辛ばかりをおかずにするわけにもいかないだろう、と言われる。そんなことはない。少量ずつ分けて冷凍しておき、少しずつ食べる。そして、何より茹でたジャガイモに塩辛を載せて食べるのが最高なのだ。人生のヨロコビと言っても過言ではない。  今日は夜半から雨になった。寒冷前線が上空を通過している。雨が上がると気温も一段と冷え込むに違いない。冷え込んだ海上で、イカ漁はこれから最盛期を迎える。漁師たちの厳しい労働にも感謝して、塩辛を味わわなければ。

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