2012年10月30日火曜日

台湾のタンチョウ

 尾籠(びろう)な表現で恐縮だが、毎日一回、排泄行為のように文章をはき出している。書き散らかしている。「文章を書く」などという域にも達していないかも知れないが。  しかし、毎日のように書いていると一年前のことが嫌でも目に入る。  昨年の10月30日にこんな事を書いていた。(抜粋して再掲する)  タンチョウを台湾に贈り、動物園で飼育するそうだ。  温暖な土地での繁殖の可能性を探るという口実を付けているが本当は違う。  「暖地での繁殖の可能性」を探る前にやるべき事があるはずだ。  北海道における繁殖可能な土地の拡大や確保をもっと真剣に取り組むべきだ。  国後島や択捉島などタンチョウが自力で移動可能な土地で、繁殖地となりうる場所がまだまだ残されている。サハリンやシベリアにもまだ余裕があるはずだ。  台湾へ贈る本当の理由は何か?  動物園で公開し、観光客の誘致に一役買わせようということだ。  関係者や知事が、はっきりとそう述べている。  知事は、台湾へ飛んで行って、セレモニーで挨拶までしている。  タンチョウは、生残個体の再発見以来、善意の人々が自腹を切って保護増殖活動に取り組み、全国の心ある人々が募金にも支えられてきた。  はじめのうち、行政からの手助けは、ほとんど無いに等しかったはずだ。  やっと1000羽を越える個体数にまで回復させた今、「タンチョウ」という種のためではなく、北海道の観光振興のために利用しようという恥知らずな思いつきで、この蛮行が生まれた。  破廉恥、厚顔無恥、無知蒙昧、カネのためなら何でもしちゃうお調子者の知事のやりそうなことである。  それにしても、暑い土地に連れて行かれ、さらし者にされるタンチョウが哀れでならない。  釧路市民は、このことに何も感じていないのか?  環境省は、釧路に事務所がありながら、この問題を看過するのか?  タンチョウの写真を写している「写真愛好家」の皆様がたは、何も感じないのか?  日本の自然保護行政にまた一つ汚点が加わった。 と、まあこのように悲憤慷慨し悪罵、痛罵、非難囂々で、ブログを書いたのが一年前だ。それから一年。いったいツルはどうしているのだろう。  鳴り物入りで宣伝し、台湾に送られ、その結果がよくわからないままに、皆が忘れているという現状は情けなさ過ぎないか。 嬉しそうに報じていたマスコミも、もうすっかり忘れ去っている。  再び問いたい。  環境省は台湾に送られたツルの現況を具体的に把握しているのか。  釧路市民は、どれほど関心を持続しているのか。  「ツルの写真『愛好家』」の皆様は、台湾にその後の様子を見に行かれたか。  欲と功名心で薄汚れたニンゲンにもてあそばれるツルが哀れすぎる。

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