2013年2月20日水曜日

流氷の裏側  流氷百話 29/100

 羅臼で流氷の海に潜る人々がいる。  僕自身は、今のところ潜水とは縁が無いが、チャンスがあれば流氷を海中からつまり裏側から見てみたいものだといつも思っている。 海水に浮いている氷の大部分は海中に沈んでいるので、海水中からみるとずいぶん巨大な氷の塊に見えるに違いない。  道東地方で流氷が押し寄せている時期は一般的に氷点下の気温が続いている。だから海上の氷は十分に冷やされ、氷の状態を維持している。それに対して海中の部分は低温とは言っても空中よりは温度の高い海水と接しているので部分的に融かされているから奇怪な形をしている。  映像や画像で見るとそれは宇宙空間を漂う小惑星の表面のようにも見える。青い空間に漂う水色の小惑星。  美しい光景に違いない。 しかし、同時に流氷はダイバーにとって危険な存在でもあるようだ。肺呼吸しかできないわれわれが空気の全く無い場所に入っていくダイビングそのものが生命の危険と隣り合わせの行為だと言える。  それに加え海面が氷に閉ざされてしまえば海中のダイバーは脱出できなくなってしまう。そして流氷は、風や波でいつどのような動きをするかわからない。  尊敬するダイバーの関さんによると、「厚さ5センチの氷は上に乗ると簡単に割れるが水中から割ろうとすればびくともしない」のだそうだ。そして、流氷の隙間の海水が凍ってガラス窓のようになった氷は透明で幾何学的な模様が封じ込められおり、それは美しい。  やはり危険なものは美しいのである。  関さんは、多くのダイバーを流氷の下に案内しているが、安全管理に対して細心の注意を払い、開氷面に氷が張りそうなときは、上から割って脱出口の確保に努めるなどしているとのことだった。  参考:知床ダイビング企画 最新海情報

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