2013年2月12日火曜日

心にしみた「カラス」(作詞・作曲者不詳)という歌

 昨日、石橋幸さんたちのコンサートで聴いた中に印象的な歌がたくさんあったが中でも「カラス」という歌に胸を打たれた。 これは反戦歌と言って良いだろうか。  石橋さん自身が歌の前におよそのあらすじを解説してくれたが、あらためてロシア語の歌詞と日本語訳を読んでみてあらためて心が動いた。 (1) Чёрный ворон, чёрный ворон, Что ты вьёшься надо мной? Ты добычи не дождёшься, Чёрный ворон, я не твой! Ты добычи не дождёшься, Чёрный ворон, я не твой! (2) Что ты когти распускаешь Над моею головой? Иль добычу себе чаешь, Черный ворон, я не твой! Иль добычу себе чаешь, Чёрный ворон, я не твой! (3) Завяжу смертельну рану Подаренным мне платком, А потом с тобой я стану Говорить всё об одном А потом с тобой я стану Говорить всё об одном. (4) Полети в мою сторонку, Скажи маменьке моей, Ты скажи моей любезной, Что за Родину я пал Ты скажи моей любезной, Что за Родину я пал. (5) Отнеси платок кровавый Милой любушке моей. Ты скажи - она свободна, Я женился на другой. Ты скажи - она свободна, Я женился на другой. (6) Взял невесту тиху-скромну В чистом поле под кустом, Обвенчальна была сваха - Сабля вострая моя Обвенчальна была сваха - Сабля вострая моя. (7) Калена стрела венчала Среди битвы роковой. Вижу смерть моя приходит - Чёрный ворон, весь я твой! Вижу смерть моя приходит - Чёрный ворон, весь я твой! <1> 黒いワタリガラスよ、黒いワタリガラスよ どうしてお前は私の上を飛び回るのだ? お前は獲物を待っているのではない 黒いワタリガラスよ、私はお前のものではない! お前は獲物を待っているのではない 黒いワタリガラスよ、私はお前のものではない!  <2> どうしてお前は爪を開いているのだ、 私の頭の上空で? もし獲物を期待しているのなら、 黒いワタリガラスよ、私はお前のものではない! もし獲物を期待しているのなら、 黒いワタリガラスよ、私はお前のものではない! <3> 私は命に障りかねない怪我を包帯する 贈ってもらったハンカチで そしてそれからお前に向かって ある事についてすべてを話し始める そしてそれからお前に向かって ある事についてすべてを話し始める <4> 私の郷里へ飛んで行って 私の母さんに言ってくれ 私の恋人にも告げるのだ 祖国のために私が死んだと 私の恋人にも告げるのだ 祖国のために私が死んだと <5> 血まみれのハンカチを届けてくれ 私のいとしいあの娘に 告げるのだよ――彼女が自由であることを 私が別の女性と結婚したことを 告げるのだよ――彼女が自由であることを 私が別の女性と結婚したことを <6> もの静かでおとなしい花嫁と結ばれたのだ 開けた草原の、潅木の下で 結婚式には仲人もいた―― 私の研がれたサーベルだ 結婚式には仲人もいた―― 私の研がれたサーベルだ <7> 真っ赤に焼けた矢が身を飾ったのだ 命を懸けた戦いのさなかに... 我が死がやって来るのが見える 黒いワタリガラスよ、私はすっかりお前のものだ! 我が死がやって来るのが見える 黒いワタリガラスよ、私はすっかりお前のものだ!  邦題は「カラス」とされているが、これに登場するカラスはワタリガラスを指すらしい。たしかに、落ち着き払って堂々と振る舞うワタリガラスの方が、この場面には相応しいと思う。  また、ロシア語の「死(смерть)」が女性名詞であることから、歌詞の5番に現れる「別の女性」や、6番に現れる「花嫁」とは、「死」のことであると解釈できるという。  今日の日本は、戦争や戦争による死が日常から遠い所にしかないと思わされているうちに、密やかに忍び寄ってきている。  そのような中で昔から歌い継がれてきた反戦、厭戦の歌を広げていくことは大きな意味をもっていると思う。

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