2013年2月8日金曜日

東電は腐海を作るつもりか

 東京電力福島第一原発で、放射性物質を含んだ汚染水が増え続けているという。  東電は先日、処理装置で放射性物質を除去した後、海に放出する方針を明らかにした。しかし、海への放出は漁業に今まで以上の打撃を与え、国際的な信用を落とすことは間違いないだろう。 東電は事故直後の一昨年4月、汚染水約1万トンを海に放出、世界中から批判された。 水俣病の例でも工場排水を希釈して有害物質を基準以下にしてから棄てるという姑息な方法を考えた者がいた。環境へ排出される総量を規制すべきだとは誰が考えても明らかなのだが、文字化して「法」にしてしまうと、法さえ守っていれば問題ないと考える人が増える。本当は愚かしいことではないのか。  どのような利害関係がからみ、どのような力関係によってその法が作られたかを見ようともしない。  有害な物質がどのような作用機序でヒトの健康を害するか、どの程度の濃度までが無害と言えるかが規制のための法の原点であろうが、実際には政治的な力関係でそれが決められる。  科学者も企業や政治家の利害対立に巻き込まれる。つまり残念なことだが科学は人々を守る道具にも傷つける凶器にもなりうる二面性を持っていることを意識すべきだ。  したがって「科学的に判断された基準だから安全」などという言葉を盲信すべきではないのだ。  東電はこれ以上汚染水を一滴たりとも海に棄てるべきではない。何億円かかろうと、また何万年かかろうと、管理していく責任があるだろう。  このままでは、宮崎駿が「ナウシカ」の中で描いた腐海と似たものが出現するかも知れない。

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