低気圧の置き土産で、海は、まだ荒れていた。カモメが群れて、打ち寄せられた漂流物の中から、食べられる物を熱心に探している。
繰り返し寄せてくる波を眺めていると様々な思いが脈絡なく意識にのぼってくる。海底に沈んだ物が、水流に巻き上げられ、波で運ばれ、浜に打ち上げられるように。たぶん、海と心がどこかで響き合うのだろう。
心の深層から、波が巻き上げて運んできた古い記憶や苦い想い出を食べてくれるカモメは、いるのだろうか。
カモメたちが啄まなかった物は、渚に散乱しているが、これらもやがて波が持ち去ってしまうのだけれども。
荒れる根室海峡を眺めていて、こんなことを考えた。
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