2009年1月24日土曜日

逗子の一日






 逗子を歩いた。親友のロシア人Aさんとそのパートナーの.Rさんが住んでいる逗子市を訪ねた。朝、突然電話をし、「これから行っても良い?」と乱暴に訪問したにもかかわらず、A&R夫妻は快く迎えてくれた。
 駅前で落ち合い、まず披露山に向かった。登り口に東京都知事をしているというI原S太郎という人の自宅だか別荘だかがあった。有刺鉄線を張り巡らせたその家は、白を基調とした外壁で、中南米あたりの独裁者の邸宅のようだった。
 そんな家を見下ろしつつ山に登る。山頂は360°が展望でき、富士山も見えるのだそうだ。今日は、雲が厚く富士の姿は見えなかったが。また、ウコッケイやクジャク、ニホンザルなどを展示したちょっとした動物園もあって、結構たくさんの人が集まっていた。 頂上から見える相模湾は、暖かそうな光に満ちていて、多くの人がウインドサーフィンやシーカヤック、ディンギーなどで遊んでいた。
 逗子は、気候が温暖で昔から保養地として知られていた、という。ロシア人のAさんは、クリミヤ半島のようだ、と表現していた。そのため、別荘などもおおくあったようで、たとえば徳富蘆花や国木田独歩などの文人が住んだり滞在したりして、彼らの足跡もあちこちにあるようだった。
 本格的な中華料理店で美味しい昼食をごちそうになった後、披露山とは湾を挟んで反対側にある桜山の方にある郷土資料館に向かった。この資料館は、徳川家第16代の家達(いえさと)さんの別荘だったとのことで、さほど大きくはないけれど明るい縁側から湘南の海を見渡すことができて、実に快適そうな建物だった。徳富蘆花や徳富蘇峰などの文学者に関する資料や、近くの古墳から出土物などが展示されていた。
 見晴らしが良く、静かで落ち着いた館内はこの上なく居心地が良く、丸々一日いてもいいなあ、と思える場所であった。

 その後、夫妻の居宅に招かれ、A氏手作りのボルシチをごちそうになって東京に戻った。しばらくロシアに行っていたA氏と久しぶりに再会できたことはもちろんだが、神奈川県逗子の魅力を深く印象づけられた一日だった。
 それにしても、突然の訪問をここまで手厚く歓迎してくれる友情とホスピタリティにあらためて深く感謝である。 

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