2009年1月4日日曜日

「エコ」がオジロワシを殺した






 携帯用の箸を持ち歩いていると、よく
「エコですか?」と声をかけられる。正直なところこのように見られると照れて戸惑ってしまう。なぜなら、自分の使う割箸1膳くらいで、森林が救えるとか温暖化が防げるとか思い込めるほど僕はお人好しじゃないし、そんな大それた理由で持ち歩いているワケじゃないからだ。自分で使う食器のうち、簡単に持ち歩けるものを一つくらい歩いてもいいじゃないか、と思う。それに今はチタンなど優れた素材の箸があって、ちょっとオシャレでもある。

 それよりもまず、「エコ」という言葉の軽さに戸惑う。どうやら環境問題に関心を持ち、環境保護に貢献することを「エコ」というらしい。同時に「地球にやさしい」とか「環境にやさしい」という表現もつきまとってくる。どこの世界に「やさしい」という形容詞を自分に対して使う者がいるだろうか。「僕は女にやさしいヨ」などと言う奴が信用できるワケがない。話が逸れたけど「エコ」とは「エコロジー」のことで、そもそもは「生態学」のことだ。それが拡大して、生態学的な知見を反映しようとする文化的・社会的・経済的な思想や行動に使われるようになったのだろう。だから、厳密に言えば「Ecology movement」などの英語から来ているわけで、もちろん間違っているわけではない。

 だが、どこか安っぽい底の浅さを感じて、僕は使いたくない言葉なのだ。!
  その実例のひとつに風力発電用風車への鳥の衝突、という問題がある。風力発電に対してまさに「環境にやさしく、エコである」というイメージ作りが先行しているが、発電用風車に激突する鳥はかなりの数にのぼっているのだ。
   例えば、2002年以降の調査記録(昨年12月に出された日本野鳥の会のプレリリースに付帯した資料による)2004年以来、オジロワシの衝突事例が11例取り上げられている。いずれも北海道内で起きているものだが、このうちの11番目の事故の発見には僕も関わっている。(未発表の事故例もあり、合計で13例起きている、という説もある)
 風車への衝突が、どれほど凄惨な事故になるか、写真を見てもらいたい。
これらは、2008年10月19日に発見された、釧路管内浜中町の発電用風車に激突したと考えられるオジロワシの死体である。なお、成鳥の衝突事例が明らかになったのは、この事故が最初、と考えられている。さらに事故の起こった時期から、この成鳥が北海道内で繁殖していた個体である可能性が極めて高い、と指摘されている。

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