2009年4月27日月曜日

吹雪の夜を走る時

  危険なことは三度あった。
 第一は対向車が突然進路を変え、わがアルクティカの方へ向かってきた。これは本当に驚いた。何も考えず、加速することで進路を空けてやり過ごした。偶然だった。
 第二は前を走っていた軽自動車が不意に右側の対向車線に飛び出して行った。そのドライバーはそのまま進路を戻して、元通り走り始めた。僕は速度を落として、その車が元の進路に戻るまで待つことができた。車間距離を十分にとっていなかったら追突していたかも知れない。
 第三は危険というべきではないかも知れない。すぐ後ろを走っていた軽自動車が、急に後ろ向きになって止まったのがルームミラーで見えた。

 昨日、友人を送って釧路まで行った。
 気軽に往復するつもりだったが、出発前、家の窓から外を見ると、牧草地を雪のカタマリが飛び回っているではないか。困難な運行を覚悟した。
 それでも路面の温度は気温より高いから、夏タイヤでの走行に問題はないだろう、と予想した。事実、我が家の前の国道は、シャーベット状の雪がやや多めにあるものの走行に問題はなかった。
 「まあ、50km/hくらいで走ればいつもよりちょっと時間がかかる程度だね」などと気楽に話し合っていた。
 ところが、内陸方向に20kmほど走った地点だった。赤信号でブレーキを踏んだ。僕としては丁寧にペダルを踏んだつもりだった。しかし、アルクティカのタイヤは急激グリップを失い、ほんの少しだけ斜めに滑って止まった。わずかなスリップだったが、僕は冷や汗が出た。そして、それまでの走行速度50km/hでは速すぎることを知った。
 釧路に近づくにつれ雪はどんどん激しくなった。路上の積雪も20cm近くありそうで、車高の低い車や軽い車は、みんな苦労している。路外に落ちたり、立ち往生している車があちこちに見られた。大袈裟に言えば「死屍累々」ということになるかな。
 この時点でその日の内に家に帰ることは諦め、ホテルを予約した。

 後でわかったことだが、この雪で死亡事故が一件起き、物損事故は通常の二倍の発生だったとのことだった。

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