2012年4月2日月曜日

腐敗アミン説ふたたび

ブログを書き始めて一年を過ぎている。

 今日、昨年の3月30日に書いた文へのコメントが寄せられた。
 会ったこともない人からのコメントだが、ブログの文を正面から受け止め、丁寧に新聞記事などを調べ、知らせてくれたものだ。行間から誠実な人柄が伝わって来るようなコメントだ。

 僕の文は、以下のような内容だった。
 東工大の清浦教授が、水俣病の原因について、熊本大の調査結果を否定し、腐敗した魚介類から生じるアミンだと主張した。そのため、有機水銀が原因物質だと突き止められるのが遅れ、被害が広がった。
 「腐敗アミン説」を主張した学者は、チッソや国を庇ったことになる。原発事故をめぐる一連の「原子力専門家」の発言も、これと軌を一にしている、とした。
 一年前、こういう趣旨の文を書いた。

 それに対して、今日、以下のようなコメントが寄せられたというわけだ。


 東工大清浦教授について、当時の新聞記事を公開しているサイトなどで調べてみました。
細かい経緯を見ると単純に有毒アミン説を唱えただけでは無いですね。

 まず、熊本大が有機水銀説を発表します。これは症例や解剖学的所見、チッソが製造工程に水銀を使用していることなどが根拠だったようです。
それに対しチッソが「科学的に見て」根拠薄弱だと反論しています。

 清浦教授は周辺海水を調査し、水銀の濃度が魚類の致死量の千分の一から十万分の一でしか無いとして「熊大の水銀説は根拠のないことではないが、慎重に取扱うべき問題で推論は世論をまどわすのでいけないと思う。水俣病の原因は現在の段階ではまだわからないが何の罪も無い漁民こそ気の毒だ。」と述べます。

 一見科学的根拠があるかのように見えること。「世論をまどわす」というセリフ。被害者を慮るかの様なブラフ。確かに最近もどこかで見たような・・・と思わせるものがありますね。
この海水調査がチッソの招聘によるものだったかどうか知りたいところですが、まだ資料を見つけることが出来ていません。              (コメントここまで)


 一年以上経過しているにもかかわらず、拙い文を丁寧に読んで下さったことに感謝したい。
 同時に、文末の清浦教授の調査がどのような経緯で、どこからの資金が出されてなされたか、が重要なポイントであるとわかる。新聞記事などでは、なかなかわからないことだろう。清浦教授の調査はわずか5日間で、報告は通産省(当時)へ提出されているという。このことから、何らかの公費による資金提供であったことは明らかだろう。
 清浦氏自身の意図がどこにあったかは別として、結果的にこの調査が水俣病の広がりを拡大し、多くの人の病態を悪化させることに手を貸し、チッソや国への責任追及を遅らせたことは明らかだ。

 60年以上も前の出来事だ。次第に事実の輪郭がぼやけるのは仕方がないかもしれないが、今でも病に苦しんでいる人々が大勢いのだから、責任は明確にしておかなければならない。
 「南京大虐殺はなかった」などと、意図的に歴史をねじ曲げる策動を得意技にしているニンゲンがうようよしているこの国にあっては、特にそう思う。

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