2012年4月8日日曜日

メカニズムは単純な方がいいのダという今日の経験

わが家に一台の古い小型車がある。
 知り合いが不要になったとのことで、無料で譲ってもらったものだ。
 「無料で譲ってもらった」というと、オンボロのスクラップのようなものを想像するだろうが、さにあらず。元気に走る。エアコンやCDも付いている。何度も札幌まで往復しているし高速道路もスイスイ走る。普通に使える。

 今日は休日。
 タイヤを夏タイヤに換え、各部の点検をした。冬中酷使したのでエンジンオイルの交換もすることにした。
 さっそく車の下に潜り込んで、ドレンプラグを探した。四輪駆動車のオイル交換は、もう永年自分でやっているのだが乗用車の整備は、あまりしたことがなかった。そのため、オイルを抜き取るドレンプラグがなかなか見つからない。
 それらしいプラグをやっと見つけて、外してみた。すぐに液体が流れ出す。
 ところが、まず、匂いが違う。エンジンオイルの匂いとは違う。そして、色が違う。長期間酷使したエンジンオイルと違って赤ワインのようなきれいな色だ。
 あれええ?
 エンジンオイルのレベルゲージを調べたら全く減っていない。
 もう一つ何かのレベルゲージがあったのでそれを引き抜いてみると、そのオイルがゼロになっていた。それは、オートマチック・トランスミッションのオイルだ。
 やれやれ。
 オートマチックの車なんか乗っていなかったし、整備した経験もなかった。
 だから、この時点でも、まだ事態を軽く見ていた。抜き取ったATF(オートマチックフルード)は、新しいものを買ってきて入れれば済むだろう、と。

 ところが、詳しい人にきいてみて初めて知ったのだが、オートマチックトランスミッションは、油圧のかかる部分だから非常に精密な構造の部品で、ちょっとしたゴミや不純物が入り込んだだけで故障するのだそうだ。
 だから素人が液の交換をすることは、まず考えられず、整備工場で専用の機械で行わなければならないとのことだった。おまけに、内部に液体の細い通路が張り巡らされており、ちょっとした機械の屑などが詰まっただけで車が動けなくなるのだそうだ。

 そんなわけで、快調に動いていたその車(「White Raven」日本名で「白いワタリガラス号」という)は、一応の復活はしたけれど、この状態で整備工場まで走り、最終チェックを受けなければ安心して走ることができない状態になってしまった。

 知らないというのは怖ろしい。
 同時に、メカニズムはやっぱり単純な方がよい、と思った。マニュアルトランスミッションで十分なのだ。
 人間というものは、ちょっとの快適さを求めるために、大がかりで大袈裟で脆弱なシステムを作り上げるのだろうかとため息が出た。

 車の変速装置でもこの騒ぎなのだ。原子力発電なんて不要に決まっている。

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