2012年4月5日木曜日

動物の生き方

日曜日など、家で一人きりになることがある。
 朝から夜まで、一人のニンゲンにも会わずに数日過ごすこともある。このような状況は、都会で生活している人には想像し難いかも知れない。ある意味で、貴重な体験なのかも知れない。

 ただ、まるっきりの孤独ではない。ネコがいる。イヌがいる。サンショウウオがいる。外に出るとウマがいる。そして、原野や森を歩くと小鳥たち、カラス、オジロワシ、無数のシカなどに出会う。
 夏ならば、野生の花々が咲き競い、チョウやハチが飛び回っている。
 だから孤独ではないし、寂しいこともない。

 動物たちを見ていて考える。彼らはどこまでも真面目だ。感情の表し方もごく控えめだ。ひたすら黙々と生きている。運命に逆らわず、黙って状況を受け入れている。

 ニンゲンは、こんな野生の動物たちに甘え過ぎてきたのではないか。
 土地が必要な時は、海岸を埋め立てる。木材が必要な時は、迷うことなく森林を伐採する。畑を作りたいから、と原野を開墾する。砂が必要なら海岸や河原から大量の砂を運ぶ。ゴルフがしたいと言って、里山の森を切り開く。

 何もするな、と言うのではない。   
様々な事情で、やむなく開発行為をしなければならないことはあるだろう。ニンゲンは自然環境に手を加えなければ生きて行かれなくなった動物だから。

 だが、目の前にある環境に手を加える時、たとえそれが小さな穴を一つ掘るだけでも、そこで暮らしている無数の命のことを考えてみてはどうだろう。

 野生の生き物たちは、ニンゲンが必要とすれば、黙ってその場所を明け渡してくれる。それに対して、黙ったままでよいから心の中で感謝すべきではないのか。

 そんな心の持ち方が枯渇しきってしまっているところに、現代社会の悲劇の根源があるように思える。

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