2012年11月1日木曜日
朝の原野でトビムシと出会った
 3日間、気圧の谷の中にいて、雨が降っていたが、今朝になって青空が戻って来た。
 外気温5℃。ストーブが頼もしい。
 今日から11月だ。
 
  朝、犬と共に草地を散歩した。
  日陰の草にうっすらと霜が残っていた。
 出勤前のほんの30分程度だが、雨が降らない限りなるべく散歩につれだすことにした。
 いや、正直に言えば、朝食時から家の中で僕につきまとって離れないから根負けして散歩に連れ出す。
 遠くでシカの鳴き声が聞こえてくる。
  哀愁を帯びてもの悲しい声なのだが、犬にとっても僕にとっても、その前にシカの居場所が気になる。
 獲りやすい場所にいたら獲ってやろうという気持ちの方が強い。
 なんと野暮な主従であろうか。
 
 ふと一本のヤナギの幹を見ると小さな小さな白い虫が一匹だけ、ボンヤリと佇んでいた。
 粘管目の昆虫 トビムシであろう。1ミリにも満たない小さな体で、腐植質を食べている。
 小さな虫だが森林の土壌の生物多様性には欠かすことのできない生物群集だ。
  一瞬の出会いがあり、次の瞬間にはもう二度と出会うことのない別れがやって来た。
 とるに足らないような虫だが、放射性物質で汚染された地域では、この虫のような微小な土壌動物が、その影響を直接受けている。そして、上位の階層にいる生物ほど汚染物質を数十から数百倍ずつ多く蓄積しているのだろう。
 まったく罪のない野生の生物たちの体に。
  久しぶりに青空は戻ったけれど,遠い山の上や水平線上には不穏な意志を隠しているような雲が浮かんでいた。
  青空が出ているけれど、いつ激しい雨が降ってくるかわからない、油断のならない空模様である。警戒を怠ることはできない。
  トビムシの運命とわれわれ国民の運命が重なる。
 一人一人の個人に比べて、はるかに大きな力を持っている国家権力は、はたして国民の幸福を守ろうとしているだろうか。
 守ろうとしているはずはない。
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