2012年11月30日金曜日

「泊原発がなければ冬乗り切れぬ」という記事

 今日の産経web版の記事には驚かされた。  こんなことを堂々と書けるものだとあきれた。 以下、引用する 暗闇の登別「泊原発なければ冬乗り切れぬ」 北海道大規模停電ルポ  暴風雪の影響で北海道登別市などの大規模停電被害は29日も続いた。北海道を代表する観光地、登別の温泉街はひっそりと静まりかえり、夜のとばりが降りると信号も消えた街を暗闇が覆った。衆院選を戦う各党に「脱原発」の動きが目立つ中、ひとたび大規模停電に陥れば市民生活が脅かされる現実を見せつけている。(大竹直樹)  「街は死んだような状態だ。町中真っ暗で電話もタクシー無線も通じない。商売あがったりだ」。JR登別駅前で客待ちをしていたタクシー運転手の加藤昭夫さん(65)が嘆く。  夜、小雪が舞う登別温泉街に着くと、観光客の姿はなく、凍(い)てつく強風が土産物店のシャッターを揺らしていた。  営業休止となった老舗旅館「第一滝本(たきもと)館」の上田俊英総支配人(55)は「電気がなければ暖房も使えず、館内放送さえできない。宿泊客の連絡先もパソコンの中で、連絡を取るのも一苦労だ。山奥でラジオも入らず、情報も不足している」と話す。登別観光協会によると、営業休止による被害総額は4億円を超えるという。  避難所となっている同市の施設では、急遽(きゅうきょ)設置された非常用発電機が轟音(ごうおん)を立てていた。28日夜には氷点下5・7度の厳しい冷え込みの中、242人が不安な一夜を過ごした。寝付かれずロビーにいた漁師の丹後武美さん(62)は「自宅にいたが、寒くて耐えられなかった。電気のある生活に慣れていたが、今回ほど電気の必要性を実感したことはない」。  27日に11月の観測史上最大となる瞬間風速39・7メートルの暴風雪に見舞われた都市部の室蘭市では、停電で思わぬ被害もあった。「坂の多い室蘭では、道路の融雪設備が停電で使えなくなり、道が凍り付いた」と室蘭観光協会の仲嶋憲一事務局長(38)は話す。  北海道では泊原発が定期検査に入り、道内の稼働原発はゼロだ。「布団にくるまって寒さをしのぐしかなかった。北海道の冬は泊原発がなければ乗り切れないのでは」。室蘭市のオール電化住宅に住む和田山忠生さん(72)は電気のありがたみを実感していた。(引用以上)  今日、パソコンのニュースを見ていたら、とんでもない見出しが目についた。  「泊原発なければ冬乗り切れぬ」というのだ。  室蘭市や登別市の送電線トラブルによる長期間停電の「北海道大規模停電ルポ」と称して、「ねっ!だから原発は必要ですよね」と書いているのだ。 新聞という公器を使った悪質な世論誘導であり、意図的に事実をねじ曲げ、論点をすり替えて、ひたすら原発再稼働に持って行こうとする意図が丸見えの記事だ。  ここであらためて述べるまでもないが、今回の停電の原因は、発達した低気圧による強風で送電線の鉄塔が倒壊したためだ。原発を何十基動かして電気を作っても、送電線が切れたら電気は泊まる。  たとえ原発が稼働していたとしても今回の停電は避けられなかったわけだ。  むしろ現在のような少数の大規模な発電所から一方的に送電するシステムだったことが原因の一つで、小規模な発電施設を散在させていたなら停電は避けられたかも知れないのだ。  この記事の筆者は、おそらく、そのようなことは百も承知していて、とにかく大規模停電という事件を原発再稼働のチャンスに利用しようとしたのだろう。そうであれば実に悪質きわまりない。  そうではなく、素朴に真剣にこの通りと信じていたのなら、あまりにも知識不足、勉強不足と誹られてもやむを得ないだろう。まさかね。  詐欺!破廉恥!悪意に満ちた誘導記事、という誹りを甘んじて受けなければならない。

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