2012年11月5日月曜日

札幌の銘菓

 毎年、この時期に札幌で買うお菓子がある。  円山に近い古い市街地にある老舗の和菓子店がある。  その店で作っている菓子で、果物のブドウを砂糖の衣で包んだだけのごくシンプルなものだ。  口に入れると程よく溶ける砂糖の甘みとブドウの香り、わずかな酸味が上品に広がる。 「どうだ!甘いだろう!参ったか!エイ!エイ!」という押しつけがましさが全く無い。 「菓子」の「菓」は、元々「お茶うけなどの食用にされる果実」だからこれこそが和菓子の原点であるようにも思える。  もうずいぶん有名になり、人気も高まり、最近はやや品薄気味になってきているのが気がかりなほどだ。  だから、知っている人も増えているだろう。  もう30年以上も昔、学生時代に円山地区で暮らしたことがあった。その当時は、十月下旬頃から作られ始めるのを楽しみに待っていて、買いに行ったものだった。  菓子の構造上大量生産は、不可能なようで、円山にあるその店以外では絶対に買えない。 商業主義真っ盛りの昨今で、インターネットやアンテナショップ、一流デパート・ホテルなどで、全国の名物が買える時代だ。  そんな風潮に背を向けるかのように、創業した店(おそらく)のみでしか販売しないという方針を貫いているこの菓子店とその看板の銘菓に拍手を送りたい。

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