空中を黒猫が漂う
ブラブラと
揺れる黒猫
ふじ棚に
爪一本でぶら下がり
ゆらゆらと
揺れる黒猫
その単振動
振動のエネルギーは脂身
ふじ棚から吊られた金網に
鳥のための入れられている脂身
黒猫は跳躍し
爪一本でぶらさがり
振り子のように動き始めた
僅かな脂身のために
強い北西の風に吹かれて
揺れる黒猫
それは
案外
黒猫の揶揄だったのか
世の中にあふれる
プレカリアートを
演じてみせたのだ
なぜなら
黒猫は
それから
簡単に脂身をせしめ
黙って立ち去ったから
ふじ棚には
しばらくの間
金網の揺れと
数本の黒い毛が
残されていた
そして
振動は大きく広がり始める
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