2012年1月23日月曜日

どこまでも環境に鈍感な電力会社

先日、根室半島で風力発電事業を始めようとしているある業者と野鳥の会の地元支部との間で話し合いがもたれた。
 風力発電の大型風車は、野鳥との衝突事故が絶えない。北海道では、これまで20羽近いオオワシやオジロワシが衝突事故を起こしている。野鳥の会は、風力発電に反対する立場ではないが、風車の建設に際しては十分な環境調査と慎重な判断をすること、建設後の状況調査(モニタリング)は、情報を公開し的確に行うことを求めている。

 遠目には、ゆっくり回っているように見える風車だが、直径90メートルもあるので、翼の先端付近の早さは時速200キロメートルを超えている。これに衝突した個体は、瞬時に体が数片に引き裂かれ、無残な状態で飛散する。

 大型のワシ類は、羽ばたき飛行もするが、羽ばたきを止めた滑空を利用しながら消費エネルギーを抑える飛び方をするので、小回りがきかない。
 ワシ類の風車への衝突がなぜ多いか、その理由は、必ずしも明らかではないが、この飛行法もその原因の一つだと思われる。

 そこで、風車の建設には、野鳥への配慮が求められるのだが、再生エネルギー絶賛の追い風を受けて、多くの業者が生まれている。中には、なりふり構わず風車を建てまくって、後の事は顧みない質の悪い業者もいる。
 こんな業者はアセスメントもいい加減で、全国あちこちでトラブルを起こしている。
 建設コストの抑制を最優先にすれば、地元住民の合意や自然環境への影響評価などをいい加減にするようになるだろう。
 このような業者は、ワシが衝突事故を起こしても、闇に葬りかねない。他人の目が無ければ何でもやってしまうというモラルの低さを構造的に抱えている。日本の原発と同じような手合いなのである。

 先日、話し合った会社は、野鳥の会と共同でアセスメントを進めたいという意向を伝えてきた。さらに建設予定地の風況は絶好なのだけれども、ワシ類との競合がどうしても避けられない場合は、建設を断念する意向であるという方針も示してくれた。

 当夜の話し合いから環境への配慮や地元との合意に対して、非常に慎重な姿勢を持っているという印象を受けた。

だが、電力を買い上げる側の北海道電力の姿勢に大きな疑問を感じた。
 北電は、新たに20万キロワットの枠で風力発電の電力を買い上げる方針を示して業者を募集している。それに対して、多くの業者が応募していきていると報じられている。

 そこで、北電は買い入れ予定枠に入る業者の選定を「公平を期すために」抽選で行うのだそうだ。
疑問は、ここにある。
 抽選という方法は、本当に「公平」なのだろうか?
 つまり、環境に対して「公平」と言えるのだろうか?
 環境に配慮しようと考えている業者も、環境を顧みようとしない業者も同列に扱うのが「公平」なのだろうか?

 これからの発電の一翼を担う(かも知れない)風力発電の建設が、環境へのインパクトをできるだけ抑えた、良質のものとなるように努力するのは、電力会社の義務では、ないだろうか。

 ここに北海道電力という会社が、環境への配慮をなおざりにしている姿勢が、垣間見られるのではないか。
 何が何でも原発を推進する会社。
 プルサーマル計画を進めてるためにヤラセの意見表明も平気でやる会社に環境への真摯な配慮を期待する方が間違っているのかも知れないが。
 しかし、自社の腹が痛むワケではないのだから、せめて業者の選定は、無責任なくじ引きで行わないで、環境への配慮を審査して決めるべきではないだろうか。
 もちろん審査の基準を明らかにし、過程は公開にすべきだし、外部の意見も取り入れる必要がある。
 それが社会的責任を果たすということではないだろうか。

北電関係者がこれを読んだら、何かコメントを寄せてもらいたいものだ。

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