2012年1月6日金曜日

札幌で

札幌で開催された「学校教育におけるアイヌ文化に関する講習会」というものに出席した。
 アイヌ文化に関して、初めて知るようなこと、授業に活用するアイディアなどが豊富に提供され、充実した講習会だった。

 ただ、少し物足りなく感じられたこともある。

 伝統文化の継承については充実していたが、アイヌ民族の歴史に関して、特に江戸中期以降に和人から受けた激しい収奪、明治以降の同化政策や差別、現在の所得や就学の格差などには、意識的に口をつぐんでいるとしか受け取れなかった。

 無理もなかろう。
 北海道の先住民であるアイヌ民族を差別し収奪した当事者が今の日本の政府であるわけで、差別と収奪の歴史を教えることは、政府が自分の誤りを認めなければならないのだから。
 この国の政府に脈々と流れる無謬主義(オカミは絶対に間違ったことはしないという思想)は、非常に根強いものがあり、そのために中国や韓国など近隣諸国との摩擦がずっと絶えない。

 このような指摘をすると「自虐史観だ」などと意味不明の抵抗さえ受ける。抵抗者は、本当は「非国民」という懐かしい表現を使いたいのだろうが。
 琉球への差別も同様で、その延長線上に今回の防衛省や沖縄防衛局による沖縄県民の意志を完全に黙殺した、異常な環境影響評価書の「提出」騒ぎが起きているのだと思う。

 どうして、この国の権力者は、このように「単一民族国家」であろうとするだろう。
犯してきた誤りをちゃんと総括し、誤りは誤りとして認めないうちは、
 「ひとつになろう日本」などという標語に違和感を感じて、「絶対ひとつになんかなるもんか」と思ってしまう。

 素直な目で歴史を見、誤りは誤りとして認め、他民族・多文化共存の社会を築く、という立場で社会のあり方を考えて行かなければ、この国に未来は無い。

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