2012年1月18日水曜日

トドの背に波 たわむれて 光揺れ 根室海峡に立春の気配




 朝、野付半島が空中に浮いていた。
 いや、浮いているように見えた。
 海面と空気中の温度差で、光が屈折するため、この季節には、海の向こう側にあるものが浮き上がって見えるようだ。




 さらに羅臼町に入る直前の峯浜で、海岸から500メートルのあたりで、海面に集まって休んでいるトドの群れがいた。




 久しぶりに寒気が緩み、波も収まった海面で、ひれ(前足)を海面に付きだして、ふざけあっているようなトドの群れを見て、微笑ましく感じ、気持ちが和んだ。
 どうして、ニンゲンはトドのように呑気に生きられないだろう。

 昨日、このブログに書いたことだが、日本は国家が人民を恐れていない国だから、「オカミの決めたことに国民は従うべきだ」と多くの政治家が考えているのだろう。
 そして、都合の良い時だけ、「オカミ」の概念の中に選挙でかき集めた票数を振りかざして「民意だ」などと言う。
 「民意」に隠れて、どれだけ悪事を重ねてきたことか。
 その最たるものが原発政策ではないか。

 このような質の悪い政治家や官僚をのさばらせているのも、結局は「民意」なのだという事実もあるだろう。

 そして、その根には、「人民が権力を恐れる」のと並行して「人々が隣人(の目)を恐れる」という社会構造もあるように思えてならない。
 これは歴史的に、そうとう根深い「相互監視システム」を持っていたからだろう。

 これらは、日本社会の恥部または、暗部である。できれば触れられたくない、日本社会の伝統と言っても良かろう。

 権力による外からの攻撃と闘う一方、われわれは、われわれの内なる敵とも対峙しなければならない。

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