流氷は、オホーツク海を北から南に向かって流れる東樺太海流に乗ってやって来る。そして、まず、紋別や網走などオホーツク海沿岸の土地に接岸する。
昔、網走市から約50キロメートル離れた北見という町で暮らしたことがある。
北見の人は、網走の浜に流氷がやって来て接岸したことを感じ取るのだという話をよく耳にした。
それは、肌で感じる風の気配でわかるのだそうだ。
考えてみれば、表面温度が-1℃程度の海面が広がっているのと、そこが氷に覆われて表面温度-10℃とか-15℃とかになるのとでは風の冷たさが違って当然だろう。
神秘的なことでもなんでもないのだが、海岸から50キロメートルも離れた土地で海の変化が感じられるということに不思議な気がした。
北見で暮らすようになって、4~5年経った頃、肌に当たる風に鋭い痛みのような寒さを感じた夜があった。
その時、「あ、流氷が接岸したな」とふと思った。
はたせるかな翌朝、網走の海岸に流氷が接岸していることを知って、無性に嬉しく思ったことがあった。
自然の営みを自分の体内の感覚が共鳴したことが嬉しかったのだ。
今も、あのときの感覚は偶然ではなかった、と信じたい。
2012年1月31日火曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿