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2012年1月31日火曜日

流氷の気配 流氷の呼吸 流氷百話 8/100

流氷は、オホーツク海を北から南に向かって流れる東樺太海流に乗ってやって来る。そして、まず、紋別や網走などオホーツク海沿岸の土地に接岸する。

 昔、網走市から約50キロメートル離れた北見という町で暮らしたことがある。
 北見の人は、網走の浜に流氷がやって来て接岸したことを感じ取るのだという話をよく耳にした。
 それは、肌で感じる風の気配でわかるのだそうだ。
考えてみれば、表面温度が-1℃程度の海面が広がっているのと、そこが氷に覆われて表面温度-10℃とか-15℃とかになるのとでは風の冷たさが違って当然だろう。
 神秘的なことでもなんでもないのだが、海岸から50キロメートルも離れた土地で海の変化が感じられるということに不思議な気がした。

 北見で暮らすようになって、4~5年経った頃、肌に当たる風に鋭い痛みのような寒さを感じた夜があった。
 その時、「あ、流氷が接岸したな」とふと思った。
 はたせるかな翌朝、網走の海岸に流氷が接岸していることを知って、無性に嬉しく思ったことがあった。
 自然の営みを自分の体内の感覚が共鳴したことが嬉しかったのだ。

 今も、あのときの感覚は偶然ではなかった、と信じたい。

2012年1月19日木曜日

流氷奇譚 その1

流氷が近づいているらしい。
 今年は、いろいろな人から流氷のウワサを聞く。

 網走に住んでいた頃は、台所の窓からオホーツク海が見えたので、毎朝、歯磨きをしながら流氷の様子を見ていた。

 同じ海辺ではあるが、今、暮らしている所は、海の見える窓はない。また、流氷が最初に訪れる海ではないから、少し物足りなく思う。

 流氷が来ているというウワサを聞くと、じっとしていられなくなるのは何故だろう?
 とにかく、近いうちに見て行ってこようと心に決めた、今日である。
 
「流氷の来る浜で暮らした者は、必ず流氷のそばに帰ってくる」と聞いたことがある。
 その話を聞いた時は「まさか」と思って、本気にしなかった。
 しかし、今の自分の心の揺れは、この言葉は、あながち嘘ではなかったのかも知れないと思うようになった。

2009年4月1日水曜日

シャチ





 ビジターセンターにシャチの骨格標本が設置された。
 2004年2月、羅臼町相泊の海岸に一つの群れが集団で座礁したことがあった。その時の一頭の雄の骨格がこのほど展示されたのだ。体重6.6トンだという。それまで空きスペースがあったことがウソのようた。高い天井からの空間がすべて埋まっている。すごい存在感である。近くにあったヒグマやオオワシの剥製が小さく見える。

 こんな大きな動物が泳ぎ回っているのが海なのだ。
 まさに「レプン(海)カムイ(神)」だ。