2013年5月8日水曜日
強風の羅臼
昨夜から吹き荒れた風は、今日になってもおさまらなかった。これほど悪天候が続くのも珍しいと羅臼に昔から住む人々が話していた。
羅臼には、過去にも想像を絶する強風が吹いて大きな被害を出したことがある。
羅臼町百年史によると風による災害の代表的なものに以下のようなものがあった。
◎1954年(昭和29年)5月10日発生
最大風速50メートル、家屋の被害439戸、漁船被害87隻、人的被害 死者2名、 負傷者8名、行方不明者27名
◎1959年(昭和34年)4月6日発生
最大風速45メートル、家屋の被害117戸、漁船被害49隻、人的被害 死者7名、負傷者4名、行方不明者82名
それぞれ「5・10災害」、「4・6突風」と呼ばれている。
完全に平坦な海上に1500メートルを超える山がニョキッと突きだしているのが知床半島だ。何者にも阻まれることなく進んできた風は、突然山にぶつかる。そこは尾根や谷が複雑に入り組んでいる場所だ。山を越えた風が、それまで以上に勢いよく吹き出してくることになる。
羅臼の突風はこうして生じる。
突風は災害をもたらすことも多いが、実は海面を泡立て酸素を溶かし込むことできれいな水を作りだし、水中で生物が住みやすい状態にする。その結果として魚も豊富になる。
強風は諸刃の剣なのである。
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