2013年5月10日金曜日
カリカリベーコンの謎を解く
今回の旅で泊まったアメリカのホテルでは、例外なく朝食にカリカリに焼いたベーコンが出された。今回に限らず、以前行った時も同様だった。
今日、同じ事務所にいるアメリカ人のALT(英語指導助手)のワイアットにそのことを尋ねてみた。
「アメリカ人は、本当にカリカリベーコンが好きなんだね。」
彼は、
「うん。だからコレステロールの高い、肥満した人が多いのさ」と苦笑混じりのジョークで応え、それから真面目な顔になって、次のような説明をしてくれた。
開拓時代からアメリカの家庭では、伝統的にニワトリとブタを飼っていた。冷蔵庫の無い頃には肉を塩蔵してベーコンとして保存することが多かった。もちろんロースやモモなどのように高級な部位も保存していたが、脂肪分が多く焼けば風味のある脂が出てくるベーコンは、調理の仕方も多様で利用しやすかった。また、他の部位に比べて値段が安いということもある。
このような理由で特に朝食のおかずにカリカリベーコンが出されるようになった。
以上の話を彼はお祖父さんから聞いたという。
この話を聞いて、僕はあらためてアメリカは農業国としてスタートしたのだということを思い出した。いや、アメリカが独立したのは1776年のことだから、当時の世界は農林水産業が中心だったのだ。ほとんど農業しかなかったと言えよう。
だが、それにしても現代のアメリカ人の間に、18世紀から続く伝統が残っていて、若い世代の間でもそれがきちんと意識されていることに感心した。
アメリカと言えば資本主義の旗頭で、今では金融資本の総本家になっている。アメリカの失業率や物価、金利などで世界の経済は振り回されていると言って良いだろう。
それでも、自分たちの先祖の生活を忘れないで、代々語り継いでいるのだ。
「農業国」として側面が、もっと前面に押し出され「自分たちの食べ物は自分たちの手で作る」という精神や農作物を商品としか見ない姿勢をあらためたら、世界はもっと変わっていくのじゃないかな、と考えた。
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