2012年2月1日水曜日

ああ、鱈ちりよ! 広がる放射性物質、深まる恐怖

ツイッター上で北海道の水産物に含まれる放射性物質検査の結果が出ているという記述があったので見てみた。
 今年1月8日、室蘭沖で捕獲したマダラから39(Bq/kg)、 昨年12月6日、同じく室蘭沖のマダラで30(Bq/kg)のセシウム137が検出されていた。同じくセシウム134もほぼ同様の割合で検出されている。(「北海道放射線モニタリング総合サイト」より) 

 この値は、発表されている中では、もっとも高い値である。
 マダラの検体は43匹あり、セシウム137についても最大で39(Bq/kg)、最小0.38(Bq/kg)以下である。
 また、セシウム137の平均値は、6.3(Bq/kg)である。
 一般的に、室蘭沖の検体の方が釧路や根室沖の検体よりも高い傾向がみられた。

 なんだか論文のようになってしまったが、この寒い時期に「ウマイ、ウマイ」とヨロコビながら食べていたタラに対して、これほど気を遣わなければならない事態をいったい誰が引き起こしたのか?
 言うまでもなく東京電力であり、原子力発電を推進した日本の政府、財界、学者たちである。

 物理がもっとも苦手な僕でさえ、放射線と放射能、放射性物質などという概念や放射線量、放射能などの単位にやたら詳しくなってしまった。

 インターネットの世界では、食品に含まれる放射能に関する情報が大量に飛び交っている。情報には、正確で的確なものから、やや大げさなもの、かなりアバウトなものまであり玉石混淆と言うべき状態だ。


 だが、どれもこれも、家族や子どもたちの健康を真剣に心配する心から発せられている。情報を隠蔽し、被害を小さく見せようとしてきた政府や東電の発表、財界の圧力、マスコミの報道、御用学者たちの「見解」などが不信感を増幅し、不安を煽りたてている。
 だから、たとえば冒頭のデータを見ても、「マダラ=39(Bq/kg)」という数値が一人歩きして、全てのマダラに39(Bq/kg)のセシウム137が含まれているかのように思い込んでしまう人がいたとしても、その人を責められない。

低線量による内部被曝が、どこまで許容されるのかというもっとも知りたい情報は、学者の「立場」によって大きく食い違っていて人々を惑わせる。
 そうなると、当然、放射性物質が少しでも含まれたものは、口にしたくないという事になる。恐怖を感じるようになるのだ。
そういう人を誰が嗤えるだろう。

 これは、とても悲しい事態だと思わずにいられない。
 僕らが教壇で何を教えてきたのだろう?
 何を恐れ、隠された悪意を見抜き、自分の目で見えるものの底に潜む真実を見抜く力を身に付けることが理科教育の目的のはずだったのではないか。

 北海道の水産物、特にマダラのデータをよく読んでみると、昨年より今年に入って値が増えている傾向がみられる。
 これは、海水の汚染がまだ収まっていないことを意味している。
 今後も監視を継続していく必要があることを意味している。

 多くの人が、正確なデータに触れ、そこから見えるものについて、議論する風土を作らなければならない。今がその時だ。
 そして、正確なデータが、隠されずに速やかに提供されているかをいつも注意していなければならない。

 思い切りタラを食べるために、是非、そうしたい。

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