2012年2月8日水曜日

龍のねむる海峡


 根室海峡からは、たまに龍が飛び上がる日がある。
 そう見えるだけなのだが。

 複雑な知床山系の沢筋を駆け下りててきた風は、海面に激突する。
 その時、水面は泡立ち、時には白い飛沫が空高く巻き上げられる。

 もう、だいぶ見慣れてしまったが、最初に見た時は驚いた。
海のこんな表情を見たことがなかったから。
恐ろしい光景だが、そこに潜む大きな力が感じられる。
 龍が空へ駆け上っていくみたいで、震えるような興奮を覚える。

 この泡立ちで海水と空気が混ざり合い、海中に酸素が供給される。そして、海の中の生き物が増える。
 根室海峡の生物相が豊な理由は、こんなところにもある。
根室海峡を守る龍たちだ。

今日も、午前中は風が強かったので、あちらこちらで龍が飛び上がっていた。
 夕方、強風は収まってきたが、水面を走る風の軌跡がくっきりと描かれていた。
根室海峡の底には龍が眠っている。

 帰り道、海を見ながら龍たちに、辺野古への新基地や不完全で危険な原子力発電にしがみついている者たちに、襲いかかり、奴らを噛み砕き、引き裂き、徹底的に駆逐してほしいと頼んでおいた。

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