2012年2月10日金曜日

流氷のゆりかご、オホーツク海 流氷百話 12/100

羅臼は、北緯44度にある。
 地球的に見ると中緯度地域に属している。この緯度は、スペインとフランスの国境地域、つまり南フランスと同緯度になる。
 この緯度で、流氷が来るのは、特異な地域で、知床半島が世界遺産地域に登録された理由の一つだ。

 では、なぜ中緯度地域であるにもかかわらず、流氷が来るのか?

 オホーツク海の二層構造が原因だとされる。
 オホーツク海は、ユーラシア大陸と千島列島、カムチャツカ半島に囲まれた「閉じた海」である。そこへアムール河が大量の淡水を流し込む。淡水と海水はすぐに混じり合うことはなく、比重の大きな海水の上に淡水(厳密には薄められた海水だが)が溜まり二層構造となる。
 冬になるとそこへ、シベリア寒気団からの冷たい空気が吹き込み、濃度の低い上層の海水が凍り、流氷が誕生すると考えられている。
 だから、オホーツク海は「流氷のゆりかご」なのだ。

 オホーツク海の畔で、一生の大半を過ごしてきた僕は、この海のそのような特異な性格を、今、とりわけ愛おしく感じている。

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